5月16日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
高濃度放射性物質を保管する高性能容器(HIC)からの水漏れの続報。157基中20基で水溜まり等を確認
高性能容器(HIC)とは、汚染物質を長期間にわたり保管する容器。にもかかわらず、これまで157基チェックしたうち20基で内容物が漏洩した可能性があるのは、今後長期間にわたる廃炉作業を考える上で非常に大きな問題だ。
※ボックスカルバート内に収納されている高性能容器(HIC)からの水の滴下事象について、セシウム吸着塔一時保管施設第二施設に保管されているHIC(全数683基)の点検(水溜まりの確認)を行っているが、新たに5基のHICに水溜まり等を確認した。5月14日現在、157基のHICの点検を完了しているが、これまでに合計20基のHICについて、水溜まり等を確認している。
【水溜まりを確認したHIC】 【製造番号】
・N7ボックスカルバート内HIC → PO641180-83(水溜まり)
・L6ボックスカルバート内HIC → PO641180-88(にじみ)
・N5ボックスカルバート内HIC → PO641180-145(水溜まり)
・AJ7ボックスカルバート内HIC → PO646393-174(にじみ)
・N7ボックスカルバート内HIC → 625899-179(水溜まり)
今後、残りの526基のHICについても、引き続き点検を行っていく。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 〜タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月16日午前11時10分~)
※滞留水移送は実施中
3号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月16日午前10時41分~)
※滞留水移送は実施中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 〜第二セシウム吸着装置(サリー)「運転中」
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
5月15日の新規記載と同様の記載。その他の項目について新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
地下水バイパス揚水井分析結果(5月14日採取分)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
月15日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことからパトロール員の安全確保のために測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
4月23日採取 5,800Bq/L
4月24日採取 5,400Bq/L
(中略)
5月6日採取 5,900Bq/L
5月7日採取 6,500Bq/L
5月8日採取 6,500Bq/L
5月9日採取 5,800Bq/L
5月11日採取 5,800Bq/L
5月12日採取 6,800Bq/L
5月13日採取 6,800Bq/L
5月14日採取 6,500Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6周辺地下水G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
4月22日採取 1,500Bq/L ※かなりの上昇
4月23日採取 1,500Bq/L
4月24日採取 2,100Bq/L
4月25日採取 980Bq/L
4月26日採取 2,000Bq/L
4月27日採取 760Bq/L ※雨は降っていないのに大きく増減
4月28日採取 1,000Bq/L
4月29日採取 550Bq/L
(中略)
5月6日採取 180Bq/L ※減少傾向は見られるものの変動幅が大きい
5月7日採取 210Bq/L
5月8日採取 180Bq/L
5月9日採取 180Bq/L
5月10日採取 120Bq/L
5月11日採取 210Bq/L
5月12日採取 120Bq/L
5月13日採取 200Bq/L
5月14日採取 160Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<H6周辺地下水G-2のトリチウム値>
4月20日採取 380Bq/L
4月21日採取 2,500Bq/L ※大幅に上昇
4月22日採取 2,000Bq/L ※若干減少
4月23日採取 310Bq/L
4月24日採取 300Bq/L
4月25日採取 330Bq/L
(中略)
5月6日採取 250Bq/L
5月7日採取 190Bq/L
5月8日採取 160Bq/L
5月9日採取 240Bq/L
5月10日採取 200Bq/L
5月11日採取 300Bq/L
5月12日採取 210Bq/L
5月13日採取 340Bq/L
5月14日採取 210Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<H6周辺地下水G-3のトリチウム値>
漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月27日採取 400Bq/L
4月28日採取 200Bq/L
4月29日採取 310Bq/L
4月30日採取 320Bq/L
5月1日採取 280Bq/L
(中略)
5月8日採取 370Bq/L
5月9日採取 330Bq/L
5月10日採取 290Bq/L
5月11日採取 350Bq/L
5月12日採取 350Bq/L
5月13日採取 440Bq/L
5月14日採取 330Bq/L