2015年3月10日 今日の東電プレスリリース

雨水とは空から降ってきた雨の水のことをいう。福島第一原発で降る雨はストロンチウム90が約100Bq/Lも含まれているのだろうか?

3月10日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)

高濃度汚染水が蓄えられているタンク群(H4・H4北・H4東エリア)の外周に設置された堰で400トンの溜まり水が謎の流出

堰の中の溜まり水(簡易分析で、ストロンチウム90が約100Bq/L超過とのことだが東京電力は「雨水」と表現)の水位が徐々に下がっていく怪現象が発生。堰の内側にあるH4北・H4東エリア内周堰内の水位に低下はない。堰の東側にあるB排水路への流れ込みもない。構内側溝排水放射線モニタの指示値に有意な変動もない。どこに消えたのか分からないまま、400トンの溜まり水が消えた!

※3月10日、午前6時24分頃、当社社員によるタンクパトロールにおいて、H4・H4北・H4東エリア内周堰外側の外周堰に溜まった雨水の水位が以下の通り低下していることを確認。
各タンクエリアの外周堰の止水弁(排水弁)は降雨時に溜まった雨水を排水するため通常「開」運用としているが、当該タンクエリアについては、外周堰に比較的高い放射能濃度の溜まり水が確認されたことから、外周堰内の水を回収するとともに、念のため当該堰の止水弁を閉としていた。

<当該堰内水位>
3月9日 午後10時30分:15cm
3月10日 午前 6時24分:10cm、午前8時15分:7cm

当該外周堰内水位の低下は現在も継続しているが、この堰の内側にあるH4北・H4東エリア内周堰内の水位に低下がないこと、当該外周堰の東側にあるB排水路への流れ込みがないこと、構内側溝排水放射線モニタの指示値に有意な変動がないことを確認。
当該外周堰内の低下した水量は、3月9日午後10時30分から3月10日午前8時15分にかけて低下した水位と当該外周堰床部の面積から約400tと推定。現在、漏えい状況及び原因等を調査中。

<当該外周堰内雨水>
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:11Bq/L)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:17Bq/L)
ストロンチウム90:約100Bq/L超過(簡易分析)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日

雨水とは空から降ってきた雨水のことをいう。福島第一原発で降る雨はストロンチウム90が約100Bq/Lも含まれているのだろうか?

2月22日のC排水路汚染水の分析結果(ろ過前後)

2月22日、C排水路で放射線モニタが「高高」警報を発した件で、警報から約1時間後に採取された汚染水のろ過前後の測定結果が発表になった。

<ろ過前>
・セシウム134:4Bq/L(お知らせ済み)
・セシウム137:11Bq/L(お知らせ済み)
・全ベータ:3.8×10^3Bq/L
・トリチウム:5Bq/L
・ストロンチウム90:1.6×10^3Bq/L

<ろ過*1後>
・セシウム134:検出限界値未満(6.4Bq/L)*2
・セシウム137:検出限界値未満(9.9Bq/L)*2
・全ベータ:1.5×10^3Bq/L
・トリチウム:5.2Bq/L
・ストロンチウム90:1.5×10^3Bq/L
*1 0.45μmのフィルタによるろ過
*2 ろ過後のセシウム分析は、試料量が少なく検出限界値が高いため、参考値。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日

ろ過によって全ベータは約半分に低減するものの、全ベータの大部分を閉めると考えられてきたストロンチウム-90はほとんど変化なし。

汚染水の素性にも謎がある。セシウムが低く全ベータが高いのは、ALPS処理待ちの高濃度汚染水(東電は濃縮塩水とも呼んでいる)の特徴だが、それにしてはトリチウムが微量すぎる。ベータ核種を主とした線源がどこかにあって、それに触れた水が汚染されて流出したおそれも否定できないのではないか。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止中

◆2号機
1号機と同じ4項目の記載。加えて、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月2日午前10時25分~)

※滞留水移送は稼働

◆3号機
1号機と同じ4項目の記載。

※滞留水移送は停止中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中

地下水バイパス

新規事項なし

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

3月9日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、一部実施できない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日

E-1の全ベータ値

2月27日採取 14,000Bq/L ※前日までの動きとは桁違いに上昇
2月28日採取 4,100Bq/L ※一昨日のトレンドに戻る
3月1日採取 4,300Bq/L
3月2日採取 44,000Bq/L ※前日から10倍規模の上昇
3月3日採取 16,000Bq/L
3月4日採取 21,000Bq/L
3月5日採取 19,000Bq/L
3月6日採取 9,200Bq/L
3月7日採取 7,500Bq/L
3月8日採取 7,500Bq/L

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日

G-2のトリチウム値

2月25日採取 200Bq/L
2月26日採取 170Bq/L
2月27日採取 1,200Bq/L ※前日までとは桁違いに上昇
2月28日採取 610Bq/L ※前日から約半減
3月1日採取 220Bq/L ※急上昇以前の状態に近づく
3月2日採取 2,000Bq/L ※地下水バイパスの運票目標値をはるかに上回る
3月3日採取 1,600Bq/L
3月4日採取 1,700Bq/L
3月5日採取 900Bq/L
3月6日採取 960Bq/L
3月7日採取 4,800Bq/L ※前日までとは桁違いに上昇
3月8日採取 480Bq/L ※前日の10分の1に

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月10日