2月23日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
港湾に直結する排水側溝で5,000ベクレルを超える放射能が発見された続報。原因について言及なし
2月22日に発生した排水路での放射線モニタの「高」警報、さらに高濃度の汚染を意味する「高高」警報についての続報。放射線の値は徐々に下がっているようだが、原因については触れられていない。
当該排水路について全ベータ放射能の分析を行った結果、以下のとおり。この分析結果は、定例で分析している当該モニタ近傍(タンク脇側溝(C排水路の合流点前))の2月21日の全ベータ分析結果40Bq/Lと比較して、有意な変動であることを確認。
・構内側溝排水放射線モニタ近傍:3.8×10^3Bq/L(午前11時採取)
・発電所港湾内排水路出口 :3.0×10^3Bq/L(午後0時30分採取)
また、「高高」警報発生後の当該放射線モニタ指示値の最大値は以下のとおりであり、流入箇所は特定できていないものの、排水路に汚染された水が流入し、発電所港湾内に流出したと推定。
<構内側溝排水放射線モニタ指示値(最大値)>
A系:5.63×10^3Bq/L(全ベータ)
B系:7.23×10^3Bq/L(全ベータ)
構内側溝排水放射線モニタ警報発生については、2月22日午後4時55分に核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第11号「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物が管理区域外で漏えいしたとき。」に該当すると判断。
午後1時50分に採取した構内側溝排水放射線モニタ近傍の全ベータ放射能分析結果は、約390Bq/Lに低下。
また、午後6時20分に採取した当該排水路内の水の放射能分析を行った結果、午後1時50分に採取した構内側溝排水放射線モニタ近傍の全ベータ放射能分析結果(約390Bq/L)より低下しており、分析結果は、以下のとおり。
<構内側溝排水放射線モニタ近傍>(午後6時20分採取)
全ベータ :190Bq/L
セシウム134:検出限界値(2.8Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(3.5Bq/L)未満
構内排水路の上流側については、有意な変動は確認されていない。分析結果は、以下のとおり。
<B排水路ふれあい交差点(B-0-1)>(午後1時15分採取)
全ベータ :検出限界値(16Bq/L)未満
セシウム134:検出限界値(16Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(26Bq/L)未満
<C排水路正門付近(C-0)>(午後1時5分採取)
全ベータ :検出限界値(16Bq/L)未満
セシウム134:検出限界値(17Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(26Bq/L)未満
懸念される海洋への流入について、港湾内の海水の分析結果も発表されている。
なお、港湾内の水の放射能分析を行った結果、通常の変動範囲内の値であることを確認。分析結果は、以下のとおり。
<1~4号機取水口北側(シルトフェンス外)>(午後4時15分採取)
全ベータ :24Bq/L
セシウム134:検出限界値(3.3Bq/L)未満
セシウム137:3.9Bq/L
<2号機取水口間>(午後4時採取)
全ベータ :22Bq/L
セシウム134:検出限界値(1.8Bq/L)未満
セシウム137:2.8Bq/L
<6号機取水口前>(午後3時25分採取)
全ベータ :17Bq/L
セシウム134:検出限界値(2.1Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(2.1Bq/L)未満
<物揚場前>(午後3時40分採取)
全ベータ :22Bq/L
セシウム134:検出限界値(2.3Bq/L)未満
セシウム137:3.3Bq/L
<港湾口>(午後4時3分採取)
全ベータ :15Bq/L
セシウム134:検出限界値(1.2Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(1.1Bq/L)未満
<港湾内東側>(午後4時10分採取)
全ベータ :検出限界値(15Bq/L)未満
セシウム134:検出限界値(1.3Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(1.2Bq/L)未満
<港湾内西側>(午後4時13分採取)
全ベータ :検出限界値(15Bq/L)未満
セシウム134:検出限界値(1.5Bq/L)未満
セシウム137:1.9Bq/L
<港湾内北側>(午後4時17分採取)
全ベータ :19Bq/L
セシウム134:検出限界値(1.2Bq/L)未満
セシウム137:1.9Bq/L
<港湾内南側>(午後4時6分採取)
全ベータ :検出限界値(15Bq/L)未満
セシウム134:検出限界値(1.1Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(1.3Bq/L)未満
2月22日午後10時に採取したC排水路(構内側溝放射線モニタ近傍)の分析結果については、全ベータ値が20Bq/L、セシウム134が検出限界値(3.3Bq/L)未満、セシウム137が6.9Bq/Lであり、通常の変動範囲内の値に低下していることを確認。
また、当該警報発生後、排水路から港湾内への汚染した水の流入防止のため、BおよびC排水路に設置してあるゲートを「閉」とし、溜まった水についてはパワープロベスター(バキューム車)による回収作業を行っている。
降雨の影響等により排水路内の水が溢水し、管理できないところで土壌に浸透する恐れ、さらには外洋への流出リスクを回避する目的から、2月23日午前3時50分から午前5時23分にかけて、最下流側の排水路ゲートおよびB、C排水路のゲートを全て「開」にした。
今後、排水路内の水(採取箇所:構内側溝排水放射線モニタ近傍)および港湾内等の海水(10箇所)については、ガンマ放射能および全べータ放射能の測定頻度を1回/週から1回/日に変更し、モニタリングを強化。
排水路の全てのゲートを「開」にした後の当該排水路内の水の放射能分析を行った結果、いずれも検出限界値未満でした。分析結果は、以下のとおり。
<構内側溝排水放射線モニタ近傍>(午前8時30分採取)
全ベータ :検出限界値(5.1Bq/L)未満
セシウム134:検出限界値(3.0Bq/L)未満
セシウム137:検出限界値(3.0Bq/L)未満
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 〜タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月23日午前10時28分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機 〜タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先はプロセス主建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月23日午前10時39分~)
※滞留水移送は稼働中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算50回目となる海洋排出を再開
2月22日より中断していたが2月23日午前10時11分、海洋への排水を再開。同日午前10時15分に漏えい等の異常がないことを確認。
本日(2月23日)午前10時11分、福島第一原子力発電所における地下水バイパス一時貯留タンク(Gr3-1,Gr3-2,Gr3-3)に貯留してある水の海洋への排水について、再開いたしました。
引用元:福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr3)からの排水について|東京電力 平成27年2月23日
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月22日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
E-1の全ベータ値
2月18日採取 4,200Bq/L
2月19日採取 52,000Bq/L
2月20日採取 30,000Bq/L
2月21日採取 10,000Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
G-2のトリチウム値
2月18日採取 180Bq/L
2月19日採取 1,700Bq/L
2月20日採取 1,200Bq/L
2月21日採取 1,100Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。