1号機取水口前(遮水壁前)の海水から全ベータが過去最高値
12月9日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年12月5日午前10時47分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
※ セシウム吸着系は2系統とも運転中
地下水バイパス ~通算38回目となる海洋排出の準備が進む
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日11月29日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
地下水バイパス揚水井No.11の汲み上げを再開。藻のような生物の正体は鉄酸化細菌等だと確認
※地下水バイパス揚水井No.11において、藻のような生物(浮遊物)が大量に汲み上げられたことから、原因調査のため10月15日よりポンプの汲み上げを停止。(既出)
地下水観察の結果、当該揚水井に発生した浮遊物は、トンネル等に一般的に存在する細菌類(鉄酸化細菌等)であることを確認。浮遊物が付着していた当該揚水ポンプおよび揚水井内部については、清掃が完了したことから12月9日午前9時27分に地下水の汲み上げを再開。
一般的な細菌であっても大量に発生するには、それを可能にするような環境が必要なはずで、回答としては不十分だろう。
鉄酸化細菌は2価の鉄(Fe+2)を3価の鉄(Fe+3)に酸化することで増殖する原核生物で、19世紀から知られてきた割に謎の多い細菌類。多様性に富んだ生活を行っており、酸化の過程で銅や金、ウランなどの重金属を分離する種類もあって、バクテリアリーチング(品質の低い鉱石から細菌を利用して鉱物を得る精錬法)に活用されている。
鉄分が多いことと、周辺の水の微妙な酸性環境に依存するものが多い鉄酸化細菌がなぜ地下水バイパスで大量に発生したのか、また発生した場所がなぜNo.11だけなのか、さらなる説明が求められる。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月8日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
海水サンプリング、1号機取水口前(遮水壁前)で全ベータが過去最高値
日報の記載は「前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない」だったが、海水サンプリングでは「1号機取水口前(遮水壁前)」で全ベータの値が過去最高を記録している。
<1号機取水口前(遮水壁前)12月8日採取>
全ベータ 170Bq/L (過去最高値:140Bq/L)