静岡県伊豆市にある「八丁池」が紅葉の時期を迎えたので、今月の3日に行ってきました。
旧天城トンネルから八丁池へ
八丁池は天城山中、標高約1173mの場所にあります。周囲が八丁(約870m)あることから、その名が付けられたといいます。池の周囲がスズタケに覆われているので別名「アオスズの池」とも言われ、天然記念物の「モリアオガエル」が生息しているそうです。
八丁池へのルートはいくつかあります。私はそのうち天城峠から登り始めるコースで行きました。同コースのスタート地点は天城トンネル入口付近にあります。自動車で行かれる場合は、近くの「水生地下(すいしょうちした)駐車場」に車を停めることができます。私はこの日、バイクで行ったこともあって、旧天城トンネル脇から登り始めました。
旧天城トンネルの登り口から25分ほど山道を登って行くと天城峠にたどりつきます。トンネルが開通するまでは下田街道一番の難所と言われた天城峠。以前から耳にしていた有名な峠であり、一度は行ってみたいと思っていた場所でした。
峠には木製のベンチとテーブルがあるので、ゆっくり休憩することもできます。
天城峠から八丁池までは緩やかな登りです。平坦な区間も多いために、比較的疲労を感じることなく山歩きを楽しむことができると思います。
私が訪れた時、天城峠付近の森は紅葉にはまだ少し早いようでしたが、緑の木々に安らぎを感じました。
天城峠から1時間ほど歩いたあたりからでしょうか。色づいた木々がぽつぽつとでてきました。うっすらと紅葉した中に、緑の葉が混じっているのも、美しいものがあります。
八丁池に向かっている途中にワサビ田がありました。収穫された後なのか、ワサビはほとんど生えていなかったものの、清涼感を感じさせられる光景でした。
ちなみに、静岡県はワサビの産出額が全国第一位となっています。天城山周辺でも多くのワサビが生産されています。ワサビは日本固有の植物であり、奈良時代にはすでに食用にされていたとのことです。ワサビの栽培は今から約400年ほど前に、現在の静岡市で始まり、その後伊豆などの各地へ広まって行ったそうです。
八丁池に近づくにつれ、森全体が色づいていきました。八丁池の周辺の森は、赤よりも黄色に紅葉する樹木が多いようです。
八丁池南側の少し小高くなった場所に展望台があります。登山道から脇道に入り1、2分ほどの場所にあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。展望台からは紅葉した森や八丁池を一望できるほか、天気さえ良ければ池の奥に富士山の姿も見ることができます。展望台からの眺めは素晴らしく、色づいた森が広がっている光景には思わず驚いてしまいました。
展望台から八丁池へはおよそ15分ほどの距離です。池の北側のほとりは草地になっています。私が訪れた時は黄色く枯れていたものの、夏には大変気持ちの良さそうな場所です。
八丁池のほとりにある草地に腰を降ろして30分ほど休むと、来た時と同じ道を歩いて旧天城トンネルへ戻りました。
今回は天城峠からのルートで行きましたが、ほかにも八丁池への最短ルートである野鳥の森からのコースも人気があります。このルートですと、八丁池まで約1時間15分ほどで行くことができます。ただし、野鳥の森へはマイカー規制があるので、二階滝園地、もしくは水生地下の駐車場からバスに乗り、八丁池口で下車します。
「天城の瞳」とも称される八丁池。近くの展望台から、標高1000mを超える天城山中にぽっかりと浮かぶようにある八丁池を眺めていると、まさに天城山中に輝く瞳のように見えます。
八丁池の魅力は何度訪れても安らぎを感じそうな雰囲気にあると思います。来年の夏、再び八丁池を訪れて、こんどは青々としている池のほとりの草地で半日ほどゆっくりしてみたいと思います。
八丁池
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji