2014年9月20日 今日の東電プレスリリース

地下水バイパス揚水井No.12の汲み上げ再開。東京電力の自主基準上問題ないからということらしい。汚染地下水の海洋放出は、そもそも日本が国家として批准しているロンドン条約(廃棄物投棄に係わる海洋汚染防止条約)に照らしてセーフなのだろうか?

9月20日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

操作卓が落下した3号機プール水の分析結果とプラントパラメータ ~9月19日分

使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:9月19日)
 ・セシウム134:3.8×10^2 Bq/cm3
 ・セシウム137:1.2×10^3 Bq/cm3
 ・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1.0×10^0 Bq/cm3)

プラントパラメータ(9月19日午後4時現在)
 ・モニタリングポスト:有意な変化なし
 ・原子炉建屋オペフロ雰囲気線量:有意な変化なし
 ・使用済燃料プール水位:有意な変化なし
 ・スキマーサージタンク水位:有意な変化なし

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

リットル当たりの線量に換算

・セシウム134:380,000 Bq/L
・セシウム137:1,200,000 Bq/L
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1,000 Bq/L)

残念ながら本日は上昇

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月3日午前10時47分~)

※滞留水移送は運転中

◆3号機
1号機と同じ4項目

※滞留水移送は停止中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス

※平成26年8月28日採取分の分析結果において、地下水バイパス揚水井No.12のトリチウム濃度が1,900Bq/Lであり、一時貯留タンクでの運用目標値1,500 Bq/Lを上回っていることを確認したことから、当該揚水井の汲み上げを8月29日午後8時17分に停止。地下水バイパス揚水井No.12のトリチウム濃度が運用目標値を超えていることを確認。(既出)

その後、一時貯留タンク側の評価を行った結果、汲み上げに問題がないため、9月20日午前10時5分に汲み上げを再開。再開後の現場は異常なし。なお、今後も地下水バイパス揚水井No.12については、トリチウム分析結果傾向の監視強化を継続し、一時貯留タンクへの影響がないことを確認する。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

9月15日に揚水井No.12から採取した地下水のトリチウム濃度が660Bq/Lだったのを受けて、各井戸の汲み上げ比率から算定した評価結果を記している。要するに、トリチウム濃度の高い井戸の水を、他の低めの水で薄めることで、全体としてどれくらいのトリチウム濃度になるかという計算だ。計算結果は80.4Bq/L。

これまで公表されたうちで最も高濃度だった2,300Bq/Lだったとしても、全体としては280.1Bq/Lに薄められるので、No.12井戸からの汲み上げを再開しても問題ないと判断されたものと思われる。

No.12は汲み上げていない状態では隣のNo.11と同等のトリチウム濃度だが、汲み上げを行うと極端に数値が上がる傾向にある。また採取中のトリチウム濃度は上昇傾向にあった。

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

9月19日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月20日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年9月20日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太