2014年9月7日 今日の東電プレスリリース

小渕経産相が事故原発を視察。G4タンクエリアの漏洩に関して「RO濃縮水が混入した堰内雨水」という言葉が使われる。堰内の汚染水はどう処理されるか

9月7日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

9月6日にドクターヘリ搬送された作業員の続報。1~2週間の入院加療が必要

※9月6日午前10時50分頃、福島第一原子力発電所構内で作業をしていた協力企業作業員(男性)が体調不良を訴え、入退域管理棟救急医療室に入室。医師による診察の結果、緊急搬送の必要があると判断されたため、同日午前11時18分にドクターヘリを要請し、午前11時52分、救急車にて福島第一原子力発電所からドクターヘリの待ち合わせ場所へ出発。午後0時15分にドクターヘリにて、いわき市立総合磐城共立病院へ出発し、(ここまで既出)

午後0時55分頃に到着。医師の診察の結果、1~2週間程度の入院加療を要することになった。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

漏洩が発生したG4タンクエリアで、堰内の「水」の汲み上げが完了

なお、滴下したRO濃縮水が混入したG4南エリア堰内雨水については、9月4日よりパワープロべスター(バキューム車)にて断続的に汲み上げを行っていたが、9月6日午後0時頃に堰内雨水の汲み上げが完了。また、RO濃縮水が滴下した周辺の堰床面の洗浄を実施。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

※「RO濃縮水が混入した堰内雨水」との呼称に注目したい。RO濃縮水とはセシウム除去装置でセシウム濃度を下げた汚染水を約2倍に濃縮した液体。セシウム以外の放射性物質はドラフト状態の汚染水よりも高濃度の危険な水だ。
RO濃縮水が混入した雨水」という表現は、事実その通りなのだろうが、廃炉に向けての対処の上で重要なのは、堰内に溜まっているものの大部分が「雨水」であるということではなく、極めて高濃度の汚染水が、たとえ量が少ないとはいえ混入してしまったということなのではないだろうか。

この表現は、漏出水と堰内の溜まり水の分析結果として9月5日に登場し、6日分の日報には記載されず、7日の日報では本文に記載された。

この「形容詞付きの雨水」が、今後どのように処理されていくのか注目したい。

操作卓が落下した3号機プール水の分析結果とプラントパラメータ ~9月6日分

なお、使用済燃料プール水の放射能分析結果が前回と比較して有意な変動がないことと、プラントパラメータに有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。

使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:9月6日)
・セシウム134:2.2×10^2 Bq/cm3
・セシウム137:6.8×10^2 Bq/cm3
・コバルト 60:1.3×10^0 Bq/cm3

プラントパラメータ(9月6日午後4時現在)
・モニタリングポスト:有意な変化なし
・原子炉建屋オペフロ雰囲気線量:有意な変化なし
・使用済燃料プール水位:有意な変化なし
・スキマーサージタンク水位:有意な変化なし

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

リットル当たりの線量に換算

・セシウム134:220,000 Bq/L
・セシウム137:680,000 Bq/L
・コバルト 60:1,300 Bq/L

小渕優子経済産業大臣の視察の様子を「写真・動画集」ページに掲載

小渕優子経済産業大臣の福島第一原子力発電所ご視察 所員との懇談会(2) | 東京電力 撮影日:平成26年9月7日

photo.tepco.co.jp

写真右側には廣瀬直己社長はじめ東京電力のユニフォーム姿の人がずらり。左手の紺色の作業着の胸には経済産業省と刺繍されている。

小渕優子経済産業大臣の福島第一原子力発電所ご視察 現場視察(1) | 東京電力 撮影日:平成26年9月7日

photo.tepco.co.jp

撮影場所は、経産省がお金を出して進めている高性能多核種除去設備だろうか?

1号機~2号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月3日午前10時47分~)

※滞留水移送は運転中(タービン建屋の水位変動が小さくなる遠方施設への移送)

3号機 ~タービン建屋滞留水の高温焼却炉建屋への移送を停止

1号機と同じ4項目に加え、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送停止を発表

・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年8月19日午後4時18分~平成26年9月6日午後6時)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

4号機~6号機

新規事項なし

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス

新規事項なし

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

9月6日のパトロールにおいて、タンク間の連絡弁からの滴下の影響で堰内入域を制限したG4南タンクエリアを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報) |東京電力 平成26年9月7日

1~4号機タービン建屋東側

新規事項なし

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月7日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年9月7日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太