2014年7月7日 今日の東電プレスリリース

原子炉冷却システム全体としての脆弱性を露呈。海水漏れで停止した5号機プール冷却系、今後は炉心冷却システムで交互切り替えで冷却の方針

7月7日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

5号機の海水漏れの続報 ~漏えい量は約1,310リットル。今後は炉心とプールを交互に冷却する予定~

漏えい状況を確認したところ、補機冷却海水系出口配管に設置してある流量調整用の弁本体に、直径約3mmの孔が1箇所開いていることを確認。今後、当該箇所の修理方法を検討する。

また、5号機原子炉建屋内の海水の漏えい状況を確認したところ、以下のような状況から、漏えい量は合計約1,310リットルと推定。
・原子炉建屋1階  :約2m×約3m×深さ約5mm(約30リットル)
・原子炉建屋中地下階:約10m×約8m×深さ約10mm(約800リットル)
・原子炉建屋地下階 :約10m×約3m×深さ約1mm(約30リットル)
・原子炉建屋地下階 :(約6m×約3m×深さ約50mm)/2※(約450リットル)
※水が溜まっている箇所が三角形のため1/2とした

なお、使用済燃料プール水温度は同日午後3時現在で23℃であり、運転上の制限値(65℃)を超えるまでには、約9日間の余裕がある。

今後は、使用済燃料プール水温度を見ながら、残留熱除去系による原子炉停止時冷却運転(炉心冷却)と非常時熱負荷運転(使用済燃料プール冷却)を交互に切り替えることで、必要に応じて使用済燃料プールの冷却を行う予定。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

爆発を起こすことなく、2014年年頭まで東京電力側は廃炉ではなく継続を希望してきた5号機だが、使用済み燃料プール冷却を停止する事態になると、炉心冷却と交互切り替えで冷却を行わなければならないという脆弱性。

炉心冷却もプール冷却も複数の系列があったはずだが、フェイルセイフとしての機能は充足していなかったということか。

免震重要棟北側の固体廃棄物貯蔵庫第3棟付近で発電機から油漏れ

固体廃棄物貯蔵庫第3棟の位置関係(GoogleMapに記載:位置記載は筆者)
※7月7日午前10時43分頃、固体廃棄物貯蔵庫第3棟付近において、仮置きされている発電機から油が漏えいしていることを協力企業作業員が発見。現在、漏えいは停止しており、床面に約50cm×約50cmの範囲で漏えい跡があることを確認。同日午前11時6分、双葉消防本部へ連絡。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中

※海水漏れ修理のためプールの冷却を停止中。今後は炉心冷却系と交互に冷却の方針

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス

※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日6月27日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク分析結果|東京電力 平成26年7月7日

サンプル採取日は6月27日。翌日に9回目となる海洋排出実施の予定か。

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

平成26年7月6日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

1~4号機タービン建屋東側

新規事項なし

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年7月7日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月7日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太