[よく分かる事故原発マップ]地下水バイパス編

建屋群に流れ込む地下水を少しでも減らすために稼働が始まった地下水バイパス。ニュースに取り上げられることも多いですが、実際にはどんな施設なのでしょう。東京電力の「地下水バイパスの取り組み」ページには下のマップが掲載されています。このマップを参考に、GoogleMapに施設をプロットしてみます。

地下水バイパスの運用状況 |東京電力「地下水バイパスの取り組み」より

www.tepco.co.jp

TEPCOマークのすぐ近くに揚水井を発見

マップを拡大すると地下水を汲み上げる井戸がはっきり見えてきます。「No.1」井戸の斜め下には、原子炉建屋近くの法面に設えられた「TEPCO」マークの植栽を発見。こんな位置関係だったんですね。1号機や2号機のすぐ近くです。

揚水井は丘の上

拡大してみると井戸が覆われていることや、井戸と井戸を結びさらにタンク方向に伸びるパイプラインも確認できます。井戸もパイプラインも法面ぎりぎりの丘の上に設置されていました。

トリチウム濃度が高め状態が続く揚水井No.12

丘の斜面ぎりぎりに設置された12基の井戸。一番南側にあるのが「No.12」。東京電力が設定した運用目標値よりもトリチウム濃度が高い傾向にあり、しばらく揚水が停止されていましたが、他の井戸の水とあわせてタンクに貯蔵するということで揚水が再開されています。(2014年6月13日現在)

揚水井No.12と汚染水漏れタンクエリアの位置関係

地下水バイパスで汲み上げる地下水に混入することが心配されているのが、昨年の夏以降に相次いだタンクエリアでの汚染水漏れ。漏れた汚染水が地中に浸透して地下水脈の層に達すると地下水バイパスそのものがストップするおそれも。

タンクがあった場所と揚水井No.12の水平距離は直線で130メートルあまりです。

3グループからの上りパイプラインが集中するタンク

タンクエリアのマップでも紹介した地下水バイパスの一時貯留タンク群。3つのグループそれぞれ3基のタンクで貯留→分析→排水のサイクルを保ちながら運用されています。タンク1基あたりの満水量は約1,000トン。入排水のパイプ位置の関係で、800トンが実効貯蔵量とのことです。

海へ続く長いパイプライン

一時貯蔵された水はグループごとに詳細分析に掛けられた上で海洋排出されます。タンクエリアほぼ中央のタンク群から道路脇の側溝や排水路に設置されたパイプラインを通って海岸線へ。海岸線に達した後は少し北上し南排水口付近から排出されることになります。

構成●井上良太