「雑固体廃棄物減容処理建屋」という難解すぎる名前の建物の北側の井戸で分析結果が急激に上昇
6月11日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
雑固体廃棄物減容処理建屋北サブドレン水の測定結果が有意な上昇
集中廃棄物処理施設とよばれるエリアにある雑固体廃棄物減容処理建屋北のサブドレン(井戸)の測定結果が上昇。今後も監視を継続するとのこと。
※雑固体廃棄物減容処理建屋北サブドレン水の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して有意な変動を確認。測定結果が上昇した原因は、降雨が影響したものと考えられる。今後も引き続き監視を継続する。
<最新のサンプリング実績>
雑固体廃棄物減容処理建屋北サブドレン水:6月10日採取分
・セシウム134:170 Bq/L(前回は検出限界値(約10 Bq/L)未満)
・セシウム137:460 Bq/L(前回は検出限界値(約20 Bq/L)未満)
下記のページの測定場所「8」が雑固体廃棄物減容処理建屋北。5月25日以降のデータが掲載されているが、6月9日までND(検出限界値未満)だったものが、6月10日に急上昇している。
(検出限界値は、Cs-134が約0.01Bq/cm3、Cs-137が約0.02Bq/cm3とのこと)
降雨などイレギュラーな何かの影響であってほしいが、引き続きしっかり監視を続けてほしい。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(6月9日午後4時30分~)
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(6月9日午後4時50分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井の状況 ~揚水井No.12のトリチウムが高めの数値で推移~
<最新のサンプリング実績>
地下水バイバス揚水井No.12:6月5日採取分
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:4.2 Bq/L)
・トリチウム:1,700 Bq/L(第三者機関の測定結果:1,600 Bq/L)
地下水バイバス揚水井No.12:6月9日採取分
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:4.7 Bq/L)
・トリチウム:1,700 Bq/L
地下水バイパス揚水井No.12の分析結果については、第三者機関による分析においても同等の結果だった。また、その他の揚水井(No.2,4,6,8,10:6月9日採取分)の測定結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※地下水バイパスとしての運用目標値は、トリチウムで1,500 Bq/L
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
ポンプ操作ミスで誤って溜められた高濃度滞留水の回収作業が完了後、焼却工作建屋周辺のサブドレン(井戸)水のサンプリング調査を実施中
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
6月10日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況 ~地下貯水槽No.7に貯留している堰内の雨水を淡水化処理装置受けタンクへ移送開始~
昨年秋の台風による大雨で、緊急的に地下貯水槽に溜めていたタンクエリア堰内の雨水の移送を開始。半年以上溜めっぱなしだったということか。
※6月11日午前11時50分、地下貯水槽No.7に貯留している堰内の雨水について、淡水化処理装置受けタンクへ移送を開始。なお、移送状況については、漏えい等の異常がないことを確認。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月11日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
雑固体廃棄物減容処理建屋北サブドレン――。まるで呪文か早口言葉のような建屋外のサブドレン(井戸)水のサンプリング検査で、事故から間もない2011年9月に迫る高い線量が測定結果が出た。高線量と降雨にはどんな関係があるのか。事故直後からのデータを読み直した。