2014年4月20日 今日の東電プレスリリース

地下水バイパスの試験的汲み上げ水のトリチウム濃度が低下したのはいいことだろう。再度上昇しないという保証があるのなら。

4月20日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

地下水バイパスの試験揚水の水質について(続報)

ゴールデンウィーク明けから開始される予定とニュースで報道されている地下水バイパス。原子炉建屋地下に流れ込む前のクリーンな状態の地下水を汲み上げ、海に放水することで原子炉建屋への地下水流入量を減らすのが目的とされる。

4月9日から揚水ポンプを稼働させ、地下水の試験的汲み上げを始めているが、その水質についての続報。

井戸のうちの1本、揚水井No.12で4月15日に採取したサンプルから、トリチウムが運用目標値を超えて検出されたのを受けての再試験の結果が報告された。

4月15日に採取した地下水バイパス揚水井No.12のトリチウムにおいて、(一時貯留タンクでの運用目標値である1,500 Bq/Lに対して)「1,600 Bq/L」が検出されたことから、4月18日に再度、揚水井No.12の地下水を採取した測定結果は以下のとおり。

<地下水バイパス揚水井No.12の測定結果>
(4月18日再採取分)
・全ベータ :検出限界値未満(検出限界値:4.4 Bq/L)
・トリチウム :1,200 Bq/L

(4月15日採取分:お知らせ済み)
・全ベータ :検出限界値未満(検出限界値:4.4 Bq/L)
・トリチウム :1,600 Bq/L

なお、揚水井No.12については、傾向を把握するため、念のため、再度測定を行うこととし、本日(4月20日)地下水の採水を実施。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

念のため再度測定という言葉の意味が不明。地下水バイパスは汲み上げた水をいったんタンクに溜め、水質検査をパスした分だけが海に放出されることになっています。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月18日午後4時39分~)

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月18日午後4時6分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

各号機タービン建屋から移送された高濃度滞留水を、誤って焼却建屋に移送した件で、常設の水位計による常時監視と焼却工作建屋西側のサブドレン水の分析結果を報告。

<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.2㎝の上昇。工作建屋では水位に変化はなかった。引き続き監視を継続。

4月20日午後2時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ17.8cm(4月14日移送停止後と比較し、0.2cm増)
・工作建屋:深さ5.0cm(4月14日移送停止後と比較し、変化なし)

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
4月19日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

1~4号機タービン建屋東側の状況

サンプリング実績を記載

<最新のサンプリング実績>
4月18日に初めて採取した1~4号機タービン建屋東側の地下水観測孔No.3-2の測定結果は以下のとおり。
<地下水観測孔No.3-2の測定結果:4月18日採取分>
・トリチウム :2,500 Bq/L
・セシウム134: 3.9 Bq/L(お知らせ済み)
・セシウム137: 11 Bq/L(お知らせ済み)
・全ベータ :2,200 Bq/L(お知らせ済み)
その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

1~4号機サブドレン観測井の状況

1~4号機建屋に隣接した井戸(サブドレンピット)内の溜まり水から放射性物質が検出されたのを受けて、流入経路を確認するための観測井戸を設置し確認を行っている。

新規事項なし

地下貯水槽の状況

サンプリング結果を記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月20日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月20日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太