【東北の名所】松島に行ったならば、遊覧船!

松島湾。大高森山頂より撮影。

宮城県・松島湾は、日本三景のひとつに数えられる名勝です。

古来より、百人一首を始め、多くの歌にも詠まれてきた、風光明媚な入り江で、日本で唯一(※)「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟を認められています。

松島湾の広さは、茨城県の湖・北浦より少し大きい35.3平方キロメートル。湾内には260余の島々があります。湾口幅は1.7km、水深は最も深い場所で4mです。昭和27年には、国の特別名勝に指定されています。

(※平成26年4月現在)

松島湾の遊覧船について

松島の見所はなんと言っても、湾に浮かぶ島々です。いくつもの島が連なっている光景は壮観です。陸から見るだけでも、その美しさを感じることはできますが、遊覧船に乗り、海の上から見てみると、また違う松島の魅力を発見できると思います。

船による遊覧は、古来から行われていたようで、江戸時代の俳人・松尾芭蕉も、船上から、松島を見たと言われています。

松島に行くならば、ぜひ、遊覧船に乗ってみたいですね。船の発着港やコースは、遊覧船の運航会社によって異なりますが、概ね、下記の港から、複数のコースを設定しているようです。

■遊覧船の発着港
 ○松島:五大堂近くの桟橋から発着しています。松島湾を一周するコースのほか
     塩釜行の定期遊覧船もあります。すぐ近くに、瑞巌寺、五大堂、
     観瀾亭 (かんらんてい)などの観光名所があり、利便性のよい港です。

定期遊覧船の発着港・松島

 ○塩釜:マリンゲート塩釜から発着します。湾内一周コースのほか、松島行の
     定期遊覧船もあります。
     マリンゲート塩釜は、船の発着施設としてだけではなく、館内には、
塩釜と近隣地域の特産品、焼きたての笹かまぼこ等を取り扱う
     お土産店のほか、シーフードレストランを始めとした各種レストラン
     も入っている複合施設となっています。効率よく遊覧観光、食事、
     お土産選びができます。
     近くには、1200年以上の歴史を誇る塩釜神社もあります。

定期遊覧船の発着港:塩釜

■松島湾の遊覧コース
 主な遊覧コースとして下記のものがあります。

 □湾内の島々を見てまわるコース
  運航会社によりますが、湾入口に浮かぶ桂島付近までを往復し、
  その途中で、松島の島々を見ることができるルートです。
  観光客が一番多いのは、恐らくこの湾内コースだと思われます。
  松島、塩釜の両港から遊覧船でています。所要時間は約50分。

 □松島・塩釜間を結ぶコース
  松島と塩釜を定期遊覧船で結んでいます。その途中に松島湾に浮かぶ
  島々を楽しむことができます。
  およそ400年前、松尾芭蕉も船に乗り、遊覧したと言われているコースです。
  松島、塩釜の両港からでています。所要時間は約50分。

 □奥松島や嵯峨渓を訪れるコース
  湾内の島々に加え、奥松島や日本三大渓のひとつと言われる「嵯峨渓」も
  見ることができるコースです。松島湾の魅力全てを感じることができる
  コースです。便数や運航会社が限られるようですが、個人的に一番、
  魅力を感じるコースです。  
  所要時間は、会社によって異なります。

 ※コース、所要時間は目安です。詳細は遊覧船を運航している各社のWEBサイト
  でご確認ください。

船の大きさは、大型船から小型船まであるようです。定期船のほか、団体やグループ、家族で、中型船や小型船を貸し切ることもできるそうです。詳細は、運行会社のWEBサイトでご確認ください。

遊覧船レポート

2012年5月、松島発着の湾内一周遊覧船に乗りました。
船の発着場所は、五大堂近くにある桟橋です。船着き場近くのチケット売り場で、乗船券を購入して、船に乗ります。時期にもよりますが、船の便数は、少なくとも1時間に1本はあります。私が乗ったのは、定員300~400名ほどの大型船でした。

乗船した遊覧船は、湾入口に浮かぶ仁王島(におうじま)を往復するものでした。船が桟橋から離れると、すぐに無数のウミネコが集まってきます。乗船客が与えるエサ目当てです。船内では、ウミネコのエサ用にかっぱえびせんが販売されており、乗船していた子供たちが、ウミネコにあげていました。

ウミネコは、全く人を恐れずに近寄ってきます。多くは、投げられたえびせんを空中でキャッチするのですが、なかには直接、子供の手から食べるツワモノもいました。

(※ウミネコへの餌やりは、糞害のため、今月1日から禁止になったようです。)

出港後、10~15分くらいすると、鐘島(かねじま)と呼ばれる、4つの洞門を持つ島が見えてきました。遊覧船では、観光ポイントが近づくと、船内アナウンスで説明をしてくれるので、特に島についての知識がなくても問題ありませんが、事前に調べておくと、さらに楽しいクルーズになるかと思います。

ちなみに、鐘島は、大波が押し寄せると鐘を打ったような音が聞こえることから、鐘島と名付けられたそうです。この日は穏やかだったために、鐘の音を聞くことができませんでした。

鐘島(かねじま)。

松島湾の入口には、まるで防波堤のように島が並んでいます。東日本大震災の際、実際に、この島々が防波堤の役目を果たすことより、松島町は、湾外に位置する付近の場所よりも、津波の被害が小さかったと言われています。

遊覧船は、鐘島のほかにも、途中、大藻根島(おおもねじま)、小藻根島(こもねじま)、鷺島(さぎじま)など、いくつかの島を見てから、仁王島に行きました。仁王島を見た後は、湾内で3番目に大きい桂島を回りこむように航行して、桟橋に再び、戻ってきました。

時間にして、およそ50分ほどの船旅でしたが、海の上からの景観、ウミネコ、船という乗り物としての楽しさなど、乗船時間以上の価値がありました。

船の揺れについてですが、私が乗った時は、それほどありませんでした。個人差があるかと思いますが、天候さえ良ければ、よほど船酔いしやすい方でもないかぎり、問題はないかと思います。

船上からの景色は、陸からのものとは全く違います。
松島に来たならば、ぜひ遊覧船での観光をおすすめします。小さなお子様も普段、乗る機会が少ない乗り物に、大喜びするかと思います。

海から見た五大堂です。陸から見るのとは、少し異なった趣です。