NPO ロシナンテスの川原尚行さんのフェイスブックを再シェアします。
この動画、ぜひご覧ください。
スーダンにて、この映像を見ながら、新たなことを思案中です。
閖上・スーダン大運動会/2011年7月3日
閖上・スーダン大運動会
2011年7月3日に宮城県名取市閖上で行われた、閖上地区の人々とスーダンの子供達の「大運動会」のニュース映像です。
震災直後から閖上地区で支援活動を行っているNPO法人ロシナンテス(代表・川原尚行医師)が中心となって開催されました。
今では南北に別れたスーダンの子供達が東北の被災地を訪問し、現地の人々と「運動会」を通してふれあいました。
スーダンと東北の子たちがつながっていくように
なんど見ても動かされる映像です。
ここから先は動画をみてぼくが考えたこと。約2年9か月前の閖上での出来事を伝える宮城県の放送局のニュースを北九州の西村さんがアップして、それをスーダンの川原さんがネットで見ながら「思案中」とFacebookに書き込んだ記事が世界中に広がっていく。そして、世界中のいろいろな場所でそれぞれなり思索がスタートする。以下のテキストはネタバレ注意なので、必ず動画を見てからお読みください。
つながって、そして1人ひとりが強くなる
こどもってすごいな、運動会って文化だな、スポーツは人と人をつないで行くんだな、いろんなことが胸に迫ってくる。圧巻は午後の部。閖上大漁節に思わず踊り始めるおばあちゃんたち。それを見て一緒に踊るスーダンのこどもたち、閖上のこどもたち、運動会に集まった人たち。
初対面ではお互いに恥ずかしくてしり込みしていたのが信じられない。
ふつうに友だちになっている。「お仕着せの交流」なんてものではなく、ふつうに仲間の付き合いをしている。
しかし考えてみればこどもたちの背景にはさまざまな問題があるはずだ。
学校のこと、家のこと、将来のこと、町のこと、もっと言うなら命の問題もある。
津波の被害を受けたところ、災害の被害を受けた場所、生活のすぐ隣り合わせに戦争がある環境。
解決が待たれることばかり。しかし、たくさんの問題に「解決すべき課題」として接する限り見えてこない大切なことがあるのかもしれないと、スーダンと閖上のこどもたちの屈託のない表情を見て思った。
「震災直後の状況は、戦争とまったく変わらなかった」――。
町が消えた閖上を見渡せる日和山の山頂で、震災を体験した人の話を聞いたスーダンの少年は、閖上のこども達と初めて対面する時に「これから頑張って、一緒に復興させましょう」と挨拶した。震災と戦災という別の課題が彼の中でつながっていた。人と人が知り合って、そしてふつうに仲間になっていく中で、いろいろなことが結びついたり、小さな発見があるのは間違いない。
もちろん、そんな難しいことばかり考えたりはしない。笑い合ったり、抱き合ったり、駆けっこしたり、別れを惜しんだり。そんな中で相手のことが染みてくる。笑いのツボや口ぐせやどんなことにびっくりするのかとか、そんなことを通して染みてくることがたくさんある。
仲間になるということは、1人ひとりが変化すること。少しずつ強くなっていくことなのかもしれない。
お隣さんの話と世界はつながっている
川原さんは今年の2月に「日本全国スギダラケ倶楽部」の若杉浩一さんとの対談の中でこんなことを話していた。
自分たちはスーダンで医療支援をしているのですが、医療って診察して薬を渡してってことだけではないんです。村に水道がないことが衛生上の課題なら水道を通すことも医療だと思うんですね。女性たちに出産の知識を身に着けてもらうためには看護師や保健師、助産師になるために勉強する機会が不可欠です。そうすると教育も医療ということになる。東北の仮設住宅で暮らすおじいちゃんおばあちゃんたちと農業をやって、お昼ご飯を一緒に食べることも医療なんです。仮設に閉じこもりがちの方々が生き生きした笑顔になってくれるんです。スーダンは内戦で大変な状況です。そういう意味では戦争をなくすことも医療と言える。究極を言えば世界平和なんです。
この言葉にとび上がった。
ドン・キホーテが騎乗するやせ馬ロシナンテ。1人ひとりはロシナンテでも、つながって力を合わせてロシナンテスになればきっと――。
人と人のつながりを力に、真っ直ぐに行こうとする。自ら「アホなんです」と言う川原さんの思案からどんな新しいことが出てくるか、楽しみだなあ。
動画をご覧いただいて、いいなと思ったら、川原さんのFacebookページやロシナンテスのページにメッセージを!
文●井上良太