下記、今朝の河北新報の記事。津波の被害が大きかった宮城県東松島市にあるお寺の住職の方について書かれたものです。
宮城県東松島市の清泰寺住職小池康裕さん(72)が、東日本大震災の犠牲者のために観音像を彫り、命を吹き込もうと読経している。像は60体以上が出来上がり、震災から3年となる11日、家族を亡くした檀家(だんか)に手渡す。
昨年秋から制作に取り掛かり、寺の裏山から切り出したケヤキや、秋田から仕入れたヒノキを手彫りした。高さはいずれも約40センチで穏やかな表情を浮かべる。
小池さんは毎朝午前6時、冷え込みが厳しい寺の作業場で像に囲まれながら「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱える。
震災では230人以上の葬儀を執り行ったという。うち50人は高校生以下の犠牲者だった。2011年には子どもを亡くした檀家に地蔵50体を彫り進呈したが、その後、持病の脊髄狭窄(きょうさく)症が悪化し、右の膝元と右手の小指のしびれが今もひどい。それでも「悲しんでいる檀家がまだいる。供養したい」と再び、のみを握った。
震災で、230人以上の葬儀を執り行い、そのうち高校生以下が50人。
清泰寺がある東松島市の死者・行方不明者は合わせて1134人。全半壊した家屋は、全世帯の74%にあたる11072戸だという。
記事を読み、以前、同市を中心に活動する、大曲浜獅子舞保存会会長・伊藤さんが語ってくれた、震災発生直後の東松島市の話を思い出した。
小池さんについて書かれた記事を、一度ならず、二度三度と読み返した。
面識は全くなく、小池さんのことは、今朝読んだ記事でしかしらない。何を思いながら、毎朝、念仏を唱え、観音像を彫っているのかは、小池さんにしかわからない。けれども、記事を読み、掲載された写真を見ていると、観音像を彫り続ける小池さんを勝手に想像してしまい、その姿がしばらく頭から離れなかった。
震災からもうすぐ3年。風化の声も聞かれる。小池さんは、持病に苦しみながらも、
「震災を忘れないためにも命が続く限り彫り続ける」という。
そういえば、伊藤会長が話をしてくれた場所にも、津波慰霊碑と共に、観音菩薩像があった。
観音菩薩は、苦悩する人々を救済する菩薩だという。まだまだ、小池さんが彫る観音像を必要とする人は、考えている以上に多いのかもしれない。
清泰寺
参考WEBサイト
Text:sKenji