放射能汚染は土で防げる 

原発事故で放出された放射性物質が広範囲に広がり、その影響が心配されています。
放射性物質は水に溶けて、水源地の水を汚染し、農作物に容易に移行するため、水も農作物も飲食できずに、福島県は人も住めない地域になってしまう。
こんな不安をあおるデマが、ことさら住民に過大な心配を与えています。

雨が降れば、山にある放射性物質が流れてきて、ふもとを汚染する。川に入って、やがて海をも汚染する。魚が汚染して食べられないと心配する人もいますが、それほど心配は要りません。

放射性物質は土(粘土質)に付着すると容易に離れません。ですから、山から水と一緒に流れてくるときに、途中の土に付着してしまい、水には含まれません。
残る放射性物質の大半は森林、建物に付着しており、雨、腐敗により流出しますが、途中に土があればそこに付着して、下流には到達しにくいのです。
大雨により、土が下流、海へ流れることはありますが、付着した放射性物質は、土から離れないため、容易に魚に移行することはありません。
粘土質の土に吸着されると、植物にも移行しにくいため、福島県の農産物は、安心して食べることができます。(粘土質の少ない土地の農産物は注意が必要です。)

つまり、土が自然のフィルターとして、機能しているのです。
ですから、川の水を水源とする水道水でも、放射性物質は検出されていません。
川の水がきれいなら、海も汚染しないはずです。(川の水による汚染はない)

原発から流出した汚染水は、海流で拡散しますが、海底の土に吸着されると、再び海水に戻ることはほとんどないと考えられています。
海流で運ばれる途中で、薄まると同時に、徐々に海底の土に吸着されるため水中の放射性物質は減っていき、遠洋漁業には影響を与えません。
原発周辺のいわき市、南相馬市では一部魚種の試験操業がはじまり、魚の安全性が確認されています。
ただし、原発近海の海底で生息している魚介類は、確認が必要でしょう。

こうした実態を知らずに、海が汚染したら世界中に放射能が散らばり危険だ、魚介類が食べられなくなると扇動する、無知(専門外)な学者に憤りを覚えます。

土は、特別な作業は必要とせず、放射性物質をどんどん吸着して、環境を浄化してくれるのです。
放射性物質を吸着した土を、どのように管理していくかを考えればよいので、悲観する必要はまったくありません。
放射性物質を吸着するものとして、ゼオライト、バーミキュライト、ベントナイトなどが取り上げられていますが、いずれも粘土の仲間です。成分により違いはあっても基本的な作用は同じです。

その土から出る放射線についても、正しく扱えば問題はありません。
土は、放射線をさえぎる効果もあります。放射性廃棄物の仮置き場がないところでは、地中に穴を掘って埋めている自治体があります。
自宅の放射能汚染庭土を何とかしたいと思う人は、庭の表土の深さ5cm程度を削り取り、庭に穴を掘って埋め、その上に掘り上げた土をかぶせれば大丈夫です。土を20cmもかければ、ほとんど放射線は出てこないのです。

土のおかげで、私たちは放射能汚染拡大を抑えることができ、放射性物質を隔離できるのです。事態は思っているほど深刻ではありません。
深刻なのは、放射能汚染を世界的な危機として、恐怖感を植えつける人たちの行動です。
内容はともかく、話題になればいい、お金になればいいと、センセーショナルに発表すると、スクープ狙いの週刊誌が飛びつきます。話題になると、世論も同調して、危険、危機の大合唱となり、心配性の人は、悲観的な話ばかりを真実として受け止め、恐怖感を周囲の人へ伝染させるため、悲観的な空気が蔓延してしまいます。

情報過多の時代、冷静に客観的な事実を追いかけると、案外、明るい未来を見通すことができます。想像の話は空想家の夢物語として相手にせず、現実をしっかり見据えていきましょう。