除染の現場 1 ~庭の除染~

除染とは、どんなことをしているのかわかりますか?
放射性物質を含む物を取り除くのですが、そのやり方はケースバイケースで、作業方法も変わります。
地面は、表面の浅いところに放射性物質が多量に付着していて、深いところには、ほとんどありません。(地表から3cmくらいまでに9割以上が付着しているといわれます)ですから、土は深さ5cm程度を除去する作業になります。
土質が砂質の場合は、放射性物質が砂に吸着されずに、深いところに浸透するので、深く除去することが必要です。
もちろん、除去した後は、新たな土、砂などを入れてもらえます。
普段、庭の手入れをしない人にとっては、庭が除染できれいになります。庭土の除去で雑草もなくなり、きれいな土が入り、庭木も少し剪定してもらえます。
逆に、きれいにしている人にとっては、土を削られ、枝葉を切られて、悲しくなります。
一般家庭の庭は狭くて、植木などの障害物が多いため、建設重機を使えず、人海戦術に頼ることになります。
樹木の種類により、放射性物質の付着量が違うため、枝落とし、伐採をどこまでやるかも問題です。
家主と協議してやるわけですが、庭木、盆栽に多用される松、ヒバなど針葉樹は、枝葉、樹皮に付着量が多いので、除染としては根本から切り取って廃棄するのが望ましいのです。
しかし観賞用の立派な庭木を失うのは辛く、その補償もないので、枝葉を詰めることが多いようです。
逆に、家主が庭木を切り取ってほしいといっても、庭木が太いと、断られます。
さらに草花が多い庭では、草花を痛める恐れがあり、あまり土を除去できません。
球根、宿根草の地上部が枯れている時期は、地下部がわからないため、球根、宿根草を一緒に除去してしまう可能性があります。
庭の除染は、放射性物質を除くために、草木も除くか、草木を残して放射性物質も残すか、厳しい選択を迫られます。