復興支援の原動力 ~NPO法人ロシナンテス・大嶋東北事業部長~

2013年7月15日。NPO法人ロシナンテスの東北事業部を取材しました。

ロシナンテスは、アフリカのスーダンで医療活動、学校・教育事業、水・衛生事業、交流事業、スポーツ事業に取り組んでいるNPO法人で、東日本大震災後には、宮城県南部を中心に復興支援活動も行っています。復興支援活動では、宮城県名取市閖上地区、亘理郡亘理町に「寺子屋」を開校し、「小中学生の学習指導・支援」や、「閖上復興だより発行サポート」、「健康農業 亘理いちご畑」、「被災地交流事業」などを行っています。

今回、宮城県亘理郡亘理町にあるロシナンテス東北事業部で東北事業部部長の大嶋一馬さん、スタッフの田地野茜さん、綾田早笑さんにお話を聞きました。

話の内容は、ロシナンテス発足の経緯、発足後からこれまでの歩み、そして、ロシナンテス東北事業部の被災地での活動でした。

ロシナンテスとしての活動状況をだいたい聞いた後、場の雰囲気は和み、今度は大嶋さん自身のことについて話題が移りました。

その話の中で印象に残っていることがありました。それは、支援活動をしている大嶋さんの原動力でした。

大嶋さんは、最初から被災地で活動しようと思っていたわけではなかったとのことでした。

「自分が人のために(支援活動を)できるわけはない。」

と思っていたそうです。こんなに熱く被災地について語り、被災地に入り込んで、
活動されている大嶋さんの言葉とは思えませんでした。

いったい、そんな大嶋さんを変えたもの、今活動をしている源は何なのだろうかと気になり、聞いてみました。

「ここまで活動をがんばっている原動力はなんですか?」すると大嶋さんは

「2つあります。」と言って、『目の前で困っている人と共に歩み続けます』という、ロシナンテスの活動理念を教えてくれました。そして、

「ここ東北にきて、本当に困っている人を人生で初めて見ました。 世の中、困っている人は確かにいるかもしれない。しかし、そういう人でも努力すれば何とかなるのでないだろうか。努力によってほとんどが解決できるのでないのだろうか・・・。

しかし、東北で被災された方々は違いました。家が流されて、車が流されて、親が亡くなり、子供が亡くなって、努力しようとしても、どうしようもないほどの困難が目の前に立ちふさがり、困っている。そういう方を生まれて初めてみました。その困っている方々の姿が、最初の原動力になっているのかもしれません。」

と言いました。つづけて、もう一つ原動力は

「怒り。」と力を込めて言いました。

「自分に対する怒り、どうしようもできない無力への怒り。一部の人間の利益、利害が絡み、なかなか進まない復興事業。そして、それに対して何もできない自分への怒りだ。」という話です。

大嶋さんが席を外した隙を見計らって、スタッフの方に大嶋さんがどのような人か聞いてみました。

「大嶋さんの凄いところは、決めるところは決める。まさに最終兵器。小さなことでも、ものすごくまじめで、人間関係を大切にし、誠実な人。だからこそ地元の方も大嶋さんを信頼しています。」ということでした。

大嶋さんは、被災地での活動について、

「支援をしているという意識はありません。」

と言っていました。震災後、すぐに被災地に来て住みつき、今は被災地に溶けこんで活動をしている大嶋さんらしい言葉でした。

大嶋さんは、その熱い情熱で、今日も東北の地で活動を続けています。

閖上地区日和山にて。後ろにいる女性はスタッフの田地野さん。

NPO法人ロシナンテス東北事業部

Text & Photo:sKenji