ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。
ホストは女を札束として見ろ!
カズヤ 「今日つまんかったすね~」
僕 「何でですか?」
営業時間が終わった後、万年ヘルプの駄目ホスト2人が会話を始めました。
カズヤ 「だってアキトさんとエリカさん…ずっとチューしてたじゃないですか?」
僕 「まぁ、確かにずっとディープキスしてましたね」
カズヤ 「俺、あの子メッチャ好みなんですよ!」
嫉妬……
カズヤさんは2部営業ナンバー1のアキトさんの指名客に強烈な嫉妬を抱いたのです。「あんな目の前でイチャつかれたら堪らない!」「胸が張り裂けそうだ!」「やってられるか!」とか散々不満をぶちまけて帰っていきました。
『客は女ではなく金として見ろ!』
『本気で惚れたら情が移って金が取れなくなるぞ!』
先輩ホストに口すっぱく言われた言葉が脳裏をよぎります。あれだけ情熱的なベロチューをかましていたアキトさんも、客を金づるとしか思っていないんだろうか?ホストというドライな職業に複雑な心境を覚えました。
幹部ホストの彼女に告ってふられる馬鹿ホスト
ハチ 「好きです!僕と付き合ってください!」
ミホ 「わたし・・・付き合ってる人がいるの・・・」
ハチ 「え・・・!だ、誰ですか?どんな人なんですか!?」
ミホ 「ヒロヤくん・・・」
ハチ 「えーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ヒロヤさんと言えばホスト歴10年の2部営業ナンバー2の幹部ホスト・・・
ここにも1人、他人の指名客を本気で狙う馬鹿ホストがいました。
ハチ 「そんな感じでふられちゃったんですよ~」
僕 「先輩の指名客を狙っちゃダメでしょ?」
ハチ 「だって、あの2人が本気で付き合ってると思わないじゃないですか!」
僕 「客とホストでも男と女なんだから分からないんじゃ?」
ハチ 「俺、ミホさんみたいなぽっちゃりした人がツボなんですよ!」
ハチさんは恋の火が1度付いたら止まらない恋愛体質らしく、どんな障害があっても女性に想いを伝える恋愛狂でした。相手が先輩ホストの指名客だろうが、歌舞伎町の売れてるキャバ嬢だろうが関係なく突っ込んで自滅しているのです。
その結果、自分の身の丈に合わない女性ばかりを口説いて一向に指名客を獲得できず、『万年ヘルプの忠犬ハチ公』と馬鹿にされていました。
結局・・・売れてるホストは感情に振り回されず、複雑な人間関係を手玉に取れる冷徹さを備えているのです。目の前の客が巨乳だからといって、おっぱいばかり見てるホストは一生一人前になれません。それは自分にも言えることです!
女は男よりも簡単に貢ぎやすい生き物だ?
ヒロヤ 「おまたせ!」
ミホ 「キャー!ヒロヤくんだー!」
恋をしてる女性の顔は男より分かりやすく、意中のホストと目を合わせた瞬間にパッと表情が明るくなり、瞳の奥がキラキラと輝いて顔全体がニヤけていくのが分かります。
30分間ヘルプとして場を繋ぎ、散々体を張って笑いを取っていた僕の顔などチラリとも振り向かず、本指名のヒロヤさんに夢中です。。。
満面の笑みでヒロヤさんと話し込むミホさんを見て、歌舞伎町で84000円もぼったくられたキャバ嬢の言葉を思い出しました。
キャバ嬢「女に金を貢がせるのは簡単ですよ。女は母性本能で動くから、相手がどんなダメ男でも応援してあげたい!1人前にしてあげたい!って思ったら幾らでも貢いじゃう」
僕 「へぇ~、女性は現実的な人が多いからそんなことないと思ってた」
キャバ嬢 「男の方が財布のヒモ固いんですよ。女で潰れる男ってそんなにいませんよ」
目の前のテーブルで10万クラスのドンペリをガンガン開けるミホさんを見て、歌舞伎のキャバ嬢の言葉が真実だと思えました。