時間が止まった町・富岡町 ~その1~

富岡町へ

6月22日朝、震災の復興支援を行っている団体、はままつ東北交流館館長の佐藤大さんと取材先でお会いした。

佐藤さんは双葉町出身で、現在は静岡県浜松市で避難生活をしながら震災復興支援活動をされている。

当初のスケジュールは、楢葉町などを中心に取材する予定だったが、

「富岡町も規制が解除されて入れるようになっていますよ。特に富岡駅付近は震災の爪痕が強く残っています。震災のことを忘れない為にも、ぜひ見てきて下さい。」

という佐藤さんの言葉で、急遽スケジュールを変更して、富岡へ行くことにした。

富岡町に車で向かっている途中、私は、車の助手席で業務メールを書いていた。
作成したメールを送信し、顔をあげて外の景色を見ると、どこか違和感を感じた。

久之浜と同様の田んぼやところどころに家やお店がある同じような光景なのだが、久之浜とは違い人の気配、生活の雰囲気がほとんど感じないのだ。原発がより近くなったのだと感じる。

富岡町には、朝8時に到着。

異様な雰囲気だった。あちこちの建物が壊れていて、人の気配が全くなかった。
生活感を感じることができなかった。人が生活していた形跡は確かにそこにあるのだが、全てが無機質な空間に感じてしまう。

今まで全く使用していなかった空間線量計を自然と身に着ける。

静寂の中、壊れたシャッターが時折、風にゆられてカタカタと音をたてている。ナンバープレートがついたままのバイクが横倒しになっている。お洒落な二階建てアパートがそこで暮らしていた人々の生活を訴えてきているかのように感じた。

電灯は倒れ、信号も止まり、何もかも停止しているかのような中で、道路脇に設置された、放射線量の数値を示す電光掲示板の文字だけがスクロールしていた。

Text & Photo:sKenji