東北で桜のつぼみが膨らみはじめた4月中旬、静岡県の企業の8人が宮城県を訪ねました。このページ「ぽたる」を運営するJP21の社員たちです。
以前このページにアップした「被災地・女川」観光ガイド のルートに、石巻エリアと大川小学校、蛤浜を追加して、1泊2日の日程で被災した地域を回ってきました。
その様子を写真中心にご紹介します。
石巻・日和山公園
日和山公園には家族連れも遊びに来ていて、花の季節を待つ雰囲気があふれていました。
でも、山から海の方を眺めると、建物の姿が消えた町が広がっています。門脇や南浜という町です。
仙台からワンボックスタイプのタクシー利用での石巻入り。高速道路を走っている間は野球の話や料理の話などで盛り上がっていたのですが、高速を降りて石巻の沿岸部に入ったとたんに車中が静まり返りました。
そんな静寂の時間を経てやってきた日和山。どうしていいか分からない。とにかく写真を撮るしかないといった感じでしょうか。
石ノ森萬画館が遠望できる場所で集合写真。
ちょっと笑顔が固まってますね。
石巻・門脇へ
日和山から石段を下って門脇町へ向かいます。
震災の当日、たくさんの人たちが津波を避けるために上ってきた石段を下って行きます。それにしても急な石段でした。
建物の残骸や基礎部分までが撤去され、更地が広がる門脇町・南浜町周辺です。
写真や映像で知っている景色でも、その場所に身を置いて、空気のにおいを感じながら目にする実景はまったくの別物です。
坂を下った門脇町から日和山を見上げると意外なほどの高さ。
かすかに鳥居が見えるあたりがほぼ山頂です。
何も残されていない更地に見えても、足元にはたくさんの被災物が残されています。こんな春の花と一緒に。
基礎や土台が残された建物に壊れた自転車が放置されていました。
「ちょっとヤラセっぽいかな?」
「でも、この家やあの自転車が津波でめちゃくちゃになったのは事実なんだよね」
がんばろう!石巻の看板
そして女川へ
魚市場のある湊地区から渡波(わたのは)地区を抜けて女川を目指します。
この辺りも被害がたいへん大きかったところです。
女川町で最初に訪ねたのは、おさかな市場「おかせい」さん。
もとは鮮魚店でしたが、津波で女川の町中が壊滅した後、その年のうちに食堂を兼ねる店舗として再開しました。
驚くほど豪勢な海の幸をお手頃な価格でいただける人気のお店です。
生まぐろ丼3000円。
トロが文字通り「山盛り」。
横から見るとまるでかき氷みたいに見えるんです。どこから食べたらいいのか、迷ってしまいます。
こちらは特選女川丼2500円。
何種類の具がのっているのか数えきれません。とにかくたいへんなボリュームです。
でも、被災地見学で昼食時間がずれ込んでいたからか、丼にとびかかるような勢いで食べ始めていました。
普通の海鮮丼にあたる「女川丼」1200円でもこのボリューム。
漁師町ならではの新鮮な具材がたまりません。
食事に続いて、清水地区の仮設団地に石田志寿恵さんを訪ねました。
地震の揺れに見舞われた直後から、津波の来襲、小さなこどもたちを助けるために駆け上がった裏山。がけをよじ登りながら津波の轟音に振り返ったら、すでに自宅は失われていたこと。
そんな辛い経験から、避難所の生活、仮設の暮らしを少しでも良くするためにさまざまな活動をされていることなど、たくさんのお話を伺いました。
そして彼女がいちばん伝えたいとおっしゃったのが、津波を甘く見るなということ。山間の集落だった清水でも、町全体が海になるような被害を受けた。日本中どこでも大地震の可能性はある。しっかり備えておくことが大切だ――。
外からやってきた自分たちのことを親身になって心配してくれる石田さんの言葉に胸を熱くした時間でした。
女川の夕べ
日が暮れる前に女川町立医療センターを訪ねました。
中村雅俊さんの「女川の町はおれたちが守る」のバナーが掲げられた場所でしばし思いを募らせます。
津波到達点が記された医療センター玄関の柱の前で。
「まさかここまで津波は来ないだろう」と高台の医療センターに逃げて被災された方の無念を思います。
倒壊したビル、かさ上げのために積み上げられた土、そして医療センターの高度感。
港町の何気ないスナップが撮れるはずの場所なのに、ここには地震の恐ろしさが凝縮されていて、心を揺さぶらされてしまいます。
今夜の宿泊はトレーラーハウスの宿「エルファロ」です。
想像以上に広い室内。清潔感あふれる内装に感激です。
今宵の夕食はニューこのり。
昼ごはんが遅かったので、あまりお腹は空いていなかったのですが、やっぱり美味しいものは美味しいのです。名物のあなご丼や捕鯨基地が近くにあるからこそのクジラの刺身定食など、たくさんいただきました。刺身の盛り合わせも美味でしたよ。
(すごーく運が良ければ、生のクジラの刺身を食べられることもあるそうです)
エルファロに戻った後は――、
夜道を歩いて居酒屋「ひわらび食堂」へ。
工事関係の方のために開店したというお話でしたが、どうしてどうして。珍しい地の魚や海藻、本場の水餃子などなどたくさん出していただきました。地元のことをマスターがいろいろ話してくれたことにも多謝多謝です。
町が消えた女川で、居酒屋を楽しめるとは。かなり驚きの経験でした。
●石巻・女川ツアーの一日目はこうしてふけていきました。
たくさんの景色を走り抜けて、多くの場所で立ち止まり、そしてたくさんの人と出会えた一日でした。
第二日目は大川小学校や蛤浜を巡ります。
二日目の模様は、参加した人たちからの記事にお任せすることにして、このページはいったんここまでとしておきます。
●TEXT+PHOTO:井上良太(株式会社ジェーピーツーワン)
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