ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン！色恋トーク！枕営業！自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ！」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。
社長が出会い喫茶に興味を持つ
出会い喫茶とはテレクラのリアルバージョンのような場所。見知らぬ男性と女性が直接顔を合わせて会話できるお店です。「出会い喫茶に行ってキャッチしてきた！」という僕の話が2部営業のホストの間で話題になり、それがタクヤ代表から社長の耳に伝わって反響を呼びました。
タクヤ代表から「イナバくん、社長と俺を出会い喫茶に連れてってくれないか？」ということになり、社長と代表を連れて出会い喫茶を案内することになりました。場所は新宿歌舞伎町、時間は夜22時。日本一の繁華街が最も盛り上がる週末の夜でした。
「これで動けるだろ？」と社長に1万円を手渡されて入店します。マジックミラー越しに出会いと金に飢えた女の姿が見えます。OL風のお姉さん、女子大生、若妻からドラクエのモンスターみたいな女性まで豊富なキャラが揃っています。「へえ、こりゃ凄いね！」と社長も代表も大興奮してました。
社長も代表も初めての体験に興奮！
社長と代表は慎重に女性を吟味すると、「この子にしよう！」と話したい女性を決めてトークボックスに消えていきます。しばらくしてタクヤ代表が戻ってくると、「いやー全然相手にされないわー！俺って魅力ないのかな・・・」と愕然とした表情を浮かべていました。ホストクラブでは何人もの指名客を抱える達人も初対面の女性には苦戦した様子。
「新鮮だね、新鮮だね！」と意味不明なセリフを口走りながら社長もトークボックスから戻ってきます。「けっこう手強いね、心を開いてくれないよ」女性のプロで百戦錬磨の社長も意気消沈。「やっぱ金で釣らなきゃ駄目なのかなぁ」と嘆きます。
その通り！出会い喫茶に来る女の目的は金なんです。金で釣らなきゃどんないい男でも動きません。普段は女に金を貢がせている社長と代表も、金を払って女を口説くことに違和感を覚えていたようでした。
渋谷で出会ったユカさんに遭遇する
「あれ・・・？」僕は5番プレートに座る女性の顔に見覚えのあることに気づきました。それは渋谷の出会い喫茶で会ったユカさんでした。彼女とは1週間前にイタリアンレストランで食事をしたばかりです。ちなみに1回の食事代として3000円を請求されました。金を稼ぐために出会い喫茶を利用する出会いのプロです。「ちょっと話してきます」代表にそう告げると、僕はユカさんをトークボックスに呼び出しました。
僕 ：「やあ、また会ったね」ユカ：「えっと、誰だっけ？」
僕 ：「この前、渋谷でご飯食べたよね。覚えてない？」ユカ：「あ・・・思い出した！3人で一緒にご飯食べた人？」
僕 ：「そうだよ」
ユカ：「今日は1人で来たの？」僕 ：「いや、実は俺ホストしてるんだけどさ。今日は社長の付き添いで来てるのよ」
ユカ：「そうだったんだ、私もキャバで働いてるんだ」僕 ：「話が合いそうだね、飯でも行く？」
ユカ：「うん」
的なノリでとんとん拍子に話がまとまり、焼き肉を食べに行くことになりました。
売れないホストとキャバ嬢の間で密約を交わす
ご飯を食べながら水商売仲間として、お互いの近況を話しました。
ユカ：「ねえ、ホストしてるって言ってたけど売れてるの？」
僕 ：「全然！ヘルプ専門でさっぱりだね」ユカ：「そうなんだ・・・。私もね、今月から始めたばっかで指名も付いてないの」
僕 ：「まあ、最初はそんなもんじゃない」ユカ：「あのさ、お互いのお店に行き合いっこしない？」
僕 ：「指名し合うってこと？」ユカ：「そうそう！そうすれば指名客とれるでしょ？よくない？」
僕 ：「確かに・・・そうだねぇ」
みたいな怪しい話になり、お店の名刺を交換して密約が成立しました。
外は雨、枕営業的なノリでラブホに直行する
焼き肉店を出ると外は大雨。時刻は午前0時を回り、終電も過ぎていました。翌朝は5時から出勤だったので家に帰る時間もありません。仕方なくホテルに泊まることに決めました。
僕 ：「これじゃ帰れないし、ホテルに泊まるしかないな」
ユカ：「じゃあ、私も付いて行く」僕 ：「えぇ？あぁ、いいよ・・・」
なんとも言えない枕営業的な展開になり、歌舞伎町のラブホテルに直行しました。ホテルに入ると風呂に入り、お互いバスローブ一枚という無防備な状態でベッドにもぐり込みました。「これはエロい展開確定だろ！」と思い込んだ僕はユカさんの肩にそっと手を伸ばしました。すると彼女は体を左右に振って完全拒否！「ウソだろ？」ここまで来て拒否られるなんて・・・
信じられなかった僕は腰にスッと手を回すと、またもや体を大きく左右に振られて完全に拒否られました！「なんじゃそりゃ？」と思いながらもそのまま就寝。翌朝、何事もなく4時半に起床してタクシーでホストクラブに出勤しました。
枕営業的なノリでラブホに入り、互いの店で指名を取る密約を交わしながらも何も無いなんて・・・
完全に金だけの契約なのかよーーー！！
とてもドライな気持ちになりました・・・。