【島のちょっとイイ景色】マングローブ

カヌーに乗って地球と同化する!?

満潮時は水に浸かるマングローブ

@石垣島

 海が美しいから木々が良く育つのか。木々がたくましいから海がひときわ映えるのか。そこには因果関係があるような気がしてなりません。マングローブはそんな恵まれた自然環境の下で育ち、より美しい風景を演出してくれます。

 マングローブは主に熱帯~亜熱帯地方で育ちます。国内では奄美大島より南の島々で見られるため、南国のイメージが強いかも知れません。

 マングローブの何が素敵かと言えば、やはりその柔軟性です!

 まず意外と知られていないのがマングローブが育つ条件。陸上では生育するうえでの競争相手が多いという理由から、海の近くを選んで育つようになったと考えられています。つまり、ある程度塩分を含んでいる湿地帯、海水と淡水の混ざる汽水域であることが生育の条件になります。何より陸上では勝ち目がないと判断し、河口付近を選んで育っているのが面白いですね!奄美大島や西表島に広がるマングローブを見ると十分たくましく見えます。 しかし人間同様、マングローブにとっても塩分の取り過ぎは良くないのですが、マングローブの面白い点は塩分を上手に取り除く点。マングローブの大半を占めるヒルギ科の植物は、水分を得る際、根の内側で塩分だけを除く仕組みができています(発達した柔毛によるろ過)。さらには取り除いた塩分は葉に集中させ、ある程度塩分が溜まると葉を枯らして落とすのです。この点もなかなか渋い!陸上植物ではちょっとマネできない芸当です。

ヒルギの葉

ここに塩分を溜めこんでいる。

地表に根を出して呼吸するヒルギ(呼吸根)@西表島

 そのほかにも、「種子が流されないよう、枝に生えている時点で発芽させてから果実を落とす」、「泥の多い湿地は酸素が少ないため、地表に根を出して呼吸する」など、塩分を含んだ湿地帯という、本来植物にとって不利と言える環境のなか、立派に育つための工夫が見られます。この柔軟性を思えば、マングローブに対する見方もより奥深くなるはずです。 そんなマングローブを楽しむにはカヌーが一番!エンジンを使わず、自分の力で動くので、複雑に入り組んだ林の中でも、十分小回りが利きます。何より、マングローブと同じように無理なく柔軟に楽しめるのでオススメです。カヌーはそこそこ体力を使いますし汗もかきますが、それだけに、なんだか地球に同化する気がするのです。

マングローブを楽しむにはカヌーがオススメ!

@奄美大島「黒潮の森マングローブパーク」

こぼれ話 「防波堤、水質浄化、まだまだすごいマングローブ!」

 海の入り口でもある河口付近にて、複雑に根を伸ばすマングローブ。近年はこれが天然の防波堤として活躍できるのではないかと期待されています。2004年のスマトラ島沖地震では、河口付近のマングローブの有無によって、被害の大きさに明らかな差が出たようです。

 また、マングローブには水質を浄化させる働きを持つことがわかっています。マングローブ付近に育つ生物が、栄養分を含んだ汚れた水をエサにすることで、水質が浄化されるのだとか。特に南の島々には守るべきサンゴ礁がたくさんあることを思えば、かなり素敵な仕組みだなぁと感じます。改めて自然はスゴいというか、本当に良く出来ていますね!現在はマングローブのその価値が評価され、各地で植樹事業が進められているようです。