世界自然遺産をご存知でしょうか。ユネスコが登録する世界自然遺産は国際的な自然保護団体である国際自然保護連合(IUCN)によって評価されます。なんだか難しそうな話ですが、人々にとって何物にも代えがたい貴重な自然が、世界自然遺産として守られているのです。 このシリーズでは世界自然遺産の中でも離島に限定して紹介していきたいと思います※。日本では屋久島と、小笠原諸島(父島・母島)が世界自然遺産に登録されていますが、世界を見渡しても、両島に匹敵する“世界遺産島”が盛りだくさん!
せっかくなので、ちょっとまとめてみました。なかなか凄い島ばかりです。いやはや、世界は広し。
※ 例えばマレーシアのボルネオ島、インドネシアのスマトラ島といった、その国の本島に値する島は省きます。
その2.アジア諸国編
マレー半島からインドネシアにかけて、多島海という印象の強いアジア諸国。中でもインドネシアは1万7000もの島しょを抱えます。しかし、世界自然遺産に関わる島々は各国に点在し、それぞれが独特の個性を放っていました。
島の位置や気候など、様々な条件が複雑に絡み合っていることと思います。改めて、島は面白いですね!
済州の火山島と溶岩洞窟群(韓国・済州島)
日本の対馬と同じく、対馬海峡上に位置するのが韓国の済州島。離島でありながら、韓国最高峰の漢拏山(かんなさん)を有し、その高さは屋久島をわずかに上回る1950mにまでのぼります。
標高800m以上は自然保護区とされ、多様な動植物の宝庫として知られています。高い標高のため、熱帯から寒帯気候帯まで植物が垂直に分布し、1800種の植物、4000種の動物(昆虫類およそ3300種)が生息しています。中にはチョウセンヤマネコ(ツシマヤマネコ)やノロジカなど、絶滅危惧種として考えられているものもあり、注目を集める要因となっています。やはり、このあたりも屋久島に近い気がします。また、現在は休火山となった済州島ですが、およそ800年前までは活発な活動が見られました。約10~30万年前の噴火の際にできた溶岩洞窟群は、世界自然遺産の選定基準を充たすとされ、観光スポットとしても人気を集めています。選定された洞窟はペンディ窟、万丈窟、金寧窟、龍泉洞窟、タンチョムル洞窟の5つ。それぞれが個性的ですので、どうせなら全部堪能したいところです!
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トゥバタハ岩礁海中公園(フィリピン・パワラン島)
トゥバタハ岩礁海中公園はそのパワラン島から南西方向へ船で9時間。パワラン島が世界自然遺産に選定されているわけではありませんが、フィリピン・パワラン島から船に乗るのが唯一のアクセスルートになります。
海中公園はスールー海上にあり、2つの岩礁と大きな珊瑚礁から形成されています。他の海よりも濃い青が印象的で、どこか神々しく感じるのは僕だけでしょうか。ここは海洋生物の宝庫として知られ、サンゴなどの腔腸動物は約50種、マンタやチョウチョウウオといった熱帯魚が400種近く生息するなど、その規模は世界最大級!多くのダイバーたちを魅了してやみません。ただ、述べたように、トゥバタハ岩礁海中公園へのアクセスはパワラン島から片道9時間の船のみ。もちろん、途中に停泊できるような島もありません。そのため、船上での寝泊りが必須となります。ダイビングなんて、そう長時間できるものではありませんので、日中の大半を船上で過ごす体力と覚悟が求められそうです(笑)。しかし、それでこそ世界自然遺産という気もしますね!
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ハロン湾(ベトナム・カットバ島ほか)
ベトナムの首都・ハノイからおよそ100kmの位置にあるハロン湾。海の桂林とも言われています。大小様々、およそ3000の奇岩や島々が印象的で、まるで水墨画のような景色です。どこか、日本の松島のような景観に似ている気がします。質素でありながら、見ごたえのある景観がなかなか良い感じです。
観光としては、奇岩を遊覧船で眺めつつ、唯一の有人島であるカットバ島のホテルに宿泊するのが一般的な様子。カットバ島はハロン湾を楽しむうえでの拠点として機能しており、ベトナム国内外から多くの観光客が訪れるリゾート地となっています。また、目を引いたのが、海上ハウスと呼ばれる、文字通り海の上に建てられた住宅。この一帯では観光業や漁業従事者を中心に1万3000人以上が暮らしているようで、海上ハウスにも4000人近くが暮らしているのだとか。海の上に建ち並ぶ住宅はもはや団地です!一家に一隻は必要であろう船もごちゃごちゃに停められていて、その彩りもどこか面白い!独特の景観を楽しめそうです!
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コモド国立公園(インドネシア・コモド島、リンチャ島、パダール島)
コモド国立公園は1991年に世界自然遺産に選定されました。世界最大の多島海国家であるインドネシア。コモド国立公園のある小スンダ列島は、インドネシアとしてはやや小規模な島々が集まっています。
この島々を代表するのが、コモドオオトカゲという固有種。“コモドドラゴン”という愛称は一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。体長は最大で3mにもおよぶ世界最大のトカゲで、しばしば「現代の恐竜」と言われるとか。また、コモド島をはじめ、国立公園内の風景もどこかカラッとしていて、まるでジュラシックパークを思わせてくれます。現地ツアーが人気で、多くの観光客が訪れるものの、コモドオオトカゲは基本的に肉食。人を積極的に襲うことはないそうですが、殺傷能力のある毒を持っているのだそう。もし、一人でコモドオオトカゲと対峙してしまったら、僕なら間違いなく腰を抜かすと思います。
そのほか、島の周辺はダイビングも人気。こちらも多くの観光客で賑わいます。(参考画像はこちら)
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アジア諸国は以上です。月並みな感想ですけど、やはりスケールが違いますね。。改めて、地球が創りあげた自然のダイナミックさを感じます。そして、陸と隔絶されるぶん、島はやはり個性豊かだと思いました。どれも一度は訪れてみたいですが、サイズのケタはずれな動植物に出会ったとして、平静を保てるか心配でなりません(笑)。