世界自然遺産をご存知でしょうか。ユネスコが登録する世界自然遺産は国際的な自然保護団体である国際自然保護連合(IUCN)によって評価されます。なんだか難しそうな話ですが、人々にとって何物にも代えがたい貴重な自然が、世界自然遺産として守られているのです。 日本で言えば、1993年に登録された屋久島、白神山地を皮切りに、2005年の知床、2011年の小笠原諸島と国内に4つ。特に小笠原諸島は記憶に新しいところでしょうか。どれも「人里離れた・・・」なんて言い回しがしっくりくるような、そのままの自然を体感できる場所です。僕は全て訪れた経験があるのですが、中でも思い出深いのは屋久島、小笠原諸島(父島、母島)といった島々。僕の島好きはこの3島で火が付いたと言っても過言ではありません。
世界中を見わたすと、この世界自然遺産は2012年時点で合計188。また、調べていくうちにわかるのですが、意外と島が多いんです。つまり、世界を見わたせば、屋久島、小笠原クラスの離島がわんさかある・・・ってコトですね(!)。 せっかくなので、ちょっとまとめてみました。なかなか凄い島ばかりです。いやはや、世界は広し。
その1.オーストラリア編
まずは、オーストラリアから。オーストラリアと聞くだけで、美しい海や広大な景色をイメージして心躍る人も多いはず。世界遺産に関しても、文化遺産が3つ(/745)に対し、自然遺産が12(/188)と上回る珍しい国なのです。 そんなオーストラリアも、日本に負けず劣らず数多の離島を有しており、離島が関わる世界自然遺産の数は5つ。以下に紹介します。
グレート・バリア・リーフ(グリーン島)
オーストラリア北東に浮かぶグリーン島。世界自然遺産であり、世界最大のサンゴ礁群「グレート・バリア・リーフ」の中に浮かぶ島として知られています。グレート・バリア・リーフを楽しむダイバーたちの拠点として機能するほか、島としても純白のビーチと、緑濃いジャングルが印象的。国際空港のあるケアンズから船で45分の距離にあります。
当然、周辺のグレート・バリア・リーフも魅力大。宇宙空間から見てもそれとわかるほどの巨大なサンゴ礁に、心打たれることは間違いないでしょう。(参考画像はこちら)
ロード・ハウ島群(ロード・ハウ島)
オーストラリア本島より東へ600kmほど離れた絶海の孤島。一度も陸繋がりになったことが無く、それゆえに島の動植物はほとんどが空を渡って訪れた種の子孫。また、島固有の植物も多いのが特徴です。島内ではトレッキングやシュノーケリングなど、急がない、のんびりした過ごし方が人気。大型の魚たちが足下まで寄ってくるビーチにも驚かされます。特筆すべきは、環境保護の観点から、島内での宿泊は1日400人までと決められている点。ちょっと島好きな人なら「日本で言う小笠原諸島みたいな島だな・・・」と、思わず期待してしまうのではないでしょうか(笑)。世界中の人々のたった400人だけですから、なんだか特別な気分になりそうです。
世界遺産登録としては、周辺の島々(アドミラリティー諸島、マトン・バード諸島、ポールズ・ピラミッド)も含まれています。中でも海抜0mから551mの高さまで突き上がるポールズ・ピラミッドは必見!(参考画像はこちら)
フレーザー島
世界でもっとも大きな砂島でもあるフレーザー島。世界で唯一、砂の上に森林が広がる島で、面積は約1840㎢(大阪府とほぼ同じ)、砂の量はサハラ砂漠よりも多いとか。もちろん、世界中を探しても似たような島は見当たらず、その規格外な様相が人気の秘密でもあります。複雑に形成された砂丘は学術的価値も高く、特に、透明度の高い淡水湖は注目を集めている様子。代表的なマッケンジー湖は、観光客にも人気が高いことが伺えます。
(参考画像はこちら)
ハード島とマクドナルド諸島
1850年代、オーストラリア南西のこの島々を発見したのが、オリエンタル号のキャプテン・ジョン・ハードと、サマラン号のキャプテン・ウイリアム・マクドナルド。それぞれ発見者の名前にちなんで名づけられました。オーストラリア領ではありますが、南極大陸に近く、ハード島はその80%が氷河によって形成されています。それでいて、南極圏としては唯一の活火山を有する火山島でもあり、「冷」と「熱」が同居する厳しい自然が印象的です。厳正保護地域に分類され、一般に立ち入ることは不可能で、特例的に立ち入りを許可されている研修者にも人数制限が課せられています。
(参考画像はこちら)
マッコーリー島
こちらもオーストラリア領の無人島。タスマニア州から南東およそ1400kmの距離に位置します。大規模なペンギンの繁殖地として有名で、写真で見る限りでも「圧巻」の一言。ペンギン好きでなくとも一度は見てみたい光景です。また、年間降雨日数が世界一(約307日)という、面白いデータもあります。雨で当然、滅多に晴れないというのも興味深いですね。晴天が多い地域と比べて生態系の違いも気になります。
・・・と、何かと好奇心がそそられる島ですが、かつて人為的に持ち込まれた猫やウサギの繁殖が原因で、島の植生が大いに脅かされました。現在では、以前の状態に戻すために試行錯誤が行われているものの、まだまだ理想とは程遠いそう。そのため、この島も一般人の観光目的での立ち入りが禁止されており、かつての状態への復活が待たれます。(参考画像はこちら)
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いかがでしょうか。やはり、世界遺産に登録される島は特別な“何か”を持っていますね。あまり諸外国には興味の無い僕でしたが、屋久島や小笠原と同じ「世界自然遺産の島」となれば、やはりそそられます。なんとなく「自然がでっかいなぁ」程度の印象だったオーストラリア。その奥深さには脱帽です。