美食って何ぞ?
「とにかく激戦だったんですよ。」 休日の東京・竹芝桟橋。「東京愛らんど」のスタッフ・S姉さんはそんなことを言う。僕と2~3言交わしたあと、ふたたび忙しそうに走り出した。
伊豆諸島・小笠原諸島の11島を船で結ぶ玄関口、竹芝桟橋。島フリークならお馴染みのこの場所には、「東京愛らんど」という島のアンテナショップがある。日々、島から送られてくる特産品や料理を提供してくれるほか、観光情報の発信にも精力的な「東京離島の何でも屋さん」的存在なのだ。 そんな東京愛らんどでは、年に3~4回程度、気になるイベントを開催している。それが、今回訪れたイベント、その名も『島グルメ美食の会』だ。この日で通算12回を数える同イベント。島々の食材を活かしたオリジナル料理が次から次へと食べられるのだ。第12回目のサブタイトルは「~新島の鮮魚と採れたて野菜~」。新鮮な魚が旨いのはもちろん、何といっても新島の魅力は個性豊かな野菜!もうサブタイトルだけで食欲が込みあげてくる。
何がステキって、「美食」って響きがもうたまらない。スーパーの特売品をくまなくチェックしながら、極力安めの品を買いあさる一般庶民の僕にとって、「美食」なんて言葉は敷居が高すぎる。「美食」なんて海●雄山の美食倶●部でしか聞いたことないっすよ・・・。 ところが、その『島グルメ美食の会』は参加費3000円でフルコース。たったの3000円っすよ。いや、たしかに1食3000円を安いと言えるかはわからない。わからないけど、新島へ行って飲食店や民宿で同等の内容を期待すれば、いったいおいくら万円かかるだろうか。事実、そのお値打ち感を嗅ぎ付けた島フリークがたくさんいたらしく、35名の定員に対して、応募が1000を越えたそうだ。「とにかく激戦だったんですよ。」なるほど。
島の食材でアヒージョ?ジェノベーゼ?
席に着くと、早速ウェルカムドリンクということで、小笠原産のパッションフルーツジュースが出てきた。今回のイベントはあくまで新島がメインだったが、他の島々の食材がちょこちょこ顔を出してくれるのがニクい。直前まで忙しなく準備していたスタッフさんも落ち着き、いよいよ開会。
前菜は明日葉のツナサラダ(新島)。
「収穫しても明日にはまた生えてくる」と言われる明日葉。伊豆諸島の島々ならどこでも育っているが、実はこれも島によって質が違うとか。今回のものは新島の採れたてを空輸したとかで、島でもなかなか食べられない柔らかな新芽を使ったとのこと。なかなかニクいですねぇ・・・。マヨネーズだとクセもマイルドで食べやすい!
続いて、伊勢海老とサザエ、きのこのアヒージョ(新島)、明日葉のジェノベーゼパスタ(新島)。
いやいや、まるでどこのホテル料理かと。そう思ったのは、島だとあまり和食以外を口にすることはないからだ。野菜も魚介類も和食に化けることは普通だが、アヒージョ?ジェノベーゼ?横文字なんてそうお目に掛かれない。そしてやはりうまいのだ!アヒージョのオイルも伊豆大島の椿油だとか。椿油って美容のイメージが強いけど、実は食用でイケるんすよ。知ってました?
ここで、おつまみ4種盛り合わせ。ところてん(神津島)、焼きくさや(新島)、赤イカの塩辛(神津島)、ムロアジのたたき揚げ(新島)。
おつまみもイイらしい。くさやだけは若干強烈だったが(笑)、東京愛らんど一番の売れ筋である赤イカの塩辛は本当にヤミツキになる。ムロアジのたたき揚げも揚げたてがうれしい。おつまみだけに酒も欲しくなるが、同時にご飯も欲しくなる。まだようやく半分なので、ぐっと我慢。
さらに、赤芽芋・あめりか芋の大島バター添え(赤芽芋・あめりか芋/新島、バター/大島) そして、新島を語るに欠かせないのがこのあめりか芋!砂質土壌ゆえ稲作ができず、その他の野菜も思うように育たなかった時代、島民の生活を支えた芋である。さつまいもの仲間でとにかく甘い!島民の間では日常食だったのだが、近頃は島外からの注目度が高く、色々な食べ方が提案されているらしい。いやいやうまい。やはり酒が要る。
新島に住みたくなってきた・・・。