ロンドンオリンピックで銀メダルに輝いた『なでしこジャパン』。U-20女子ワールドカップで銅メダルを獲得した『ヤングなでしこ』。女子サッカー界が大きな注目を集めている今、更に一つ下の世代に『リトルなでしこ』と呼ばれる17歳以下の日本代表の存在があります。今回はU-17女子ワールドカップで活躍したボランチの中村みづき選手のプレーの魅力に迫ります。
【中村 みづき】 なかむら・みづき
国籍:日本
生年月日:1995年8月15日
身長:166cm
体重53kg
在籍チーム:浦和レッズレディース・ユース
ポジション:MF
『女版、遠藤保仁』とも呼べるリトルなでしこの逸材
浦和レッズレディースユースで活躍する中村みづきは、所属クラブでもU-17でも隅田凛とボランチでコンビを組みます。ドリブル突破と前方への飛び出しを得意とする隅田のイメージが長谷部誠だとしたら、中村は中盤の底から巧みなパスでタクトを振るう遠藤保仁のような存在です。そのパスセンスは群を抜いたものがあり、右足から繰り出される精度の高いキックは魔法の杖。
ゲームメーカーの成宮唯のようにグランダーのスルーパスを前に送る選手はいますが、20~40メートルの中長距離のロングフィードを縦に出せるパサーがほとんど見られないことを考えると、彼女がいかに優れた逸材であるかが分かります。空中にイメージを描ける立体的なパスは中村みづきの専売特許のようなもの。フォワードにシュートを促すロングスルーパス、サイドスペースに味方を走り込ませるバックスピンをかけたミドルパス、ゴール前で見せる浮き球のワンツーなど創造性溢れる多彩なキックでゲームを組み立てる希有なプレーメーカーです。
ボランチの手本のような優れたビルドアップ
ほとんどのボール処理をワンタッチからツータッチでさばき、ボールホルダーになる時間が少ない選手です。後ろに目がついているかのように前後左右にパスを散らし、攻撃の合図となる縦パスと守備のリスクを考慮したバックパスを局面ごとに蹴り分ける優れた判断力を持ちます。
狭いエリアでもダイレクトパスで局面を一発で打開するキック精度を誇り、中盤の底でDFとMFの繋ぎ役に徹する太いパイプとなる存在です。守備意識が高いのでセンターサークル付近から前に出ることはほとんどありませんが、攻守に渡って大きな存在感を示す中盤のバランサーです。
高い身体能力と優れたポジションセンスでゴールを死守
大柄な体型を生かしたマンマーキングは滅法強く、独特の間合いから必殺のスライディングタックルでボールを奪い取る技術を持ちます。良い意味で動かないプレーを身上とし、ディフェンスラインの一つ前にポジションを置いてフィルターの役目を果たします。流れの中でサイドバックやセンターバックが前に出ていくとき、素早くポジションを修正してその穴を埋めるアンカーとしての動き出しは秀逸です。相手チームに押し込まれた状況でも体を投げ出してタックルに行く局面での厳しさも持ち合わせます。
総括
守備でも攻撃でもスケールの大きさが際立つ期待の大型ボランチです。将来的には間違いなく日本を背負う逸材です。パス能力だけを見れば、現時点でもなでしこジャパンのボランチでレギュラーを張る阪口夢穂より優れていると思われます。早い段階でA代表にデビューさせたい選手の1人です。