これぞ、天然の360度パノラマ
沖縄本島北部・本部港から10kmの距離にある伊江島。南の島の離島らしい、ゆっくりとした時間が流れる穏やかな島です。 その伊江島を語るうえで欠かせないのが、平坦な島から突き出るようにそびえる城山(ぐすくやま)。沖縄の言葉で「イータッチュー(伊江島のとんがった山)」とも呼ばれています。さてさてこれがただの山ではありません。伊江島を訪れたなら、「この山を登らずして帰れない」と言っても良いでしょう。見た目から既に目立っている城山ですが、かつては「沖縄八景」※で第1位を獲得した実績をもつ山なのです。ここからの展望は最高の一言で、まさに360度パノラマ!!まるで空を飛んでいるような、そんな感覚にさえさせてくれます。実は、世界的に見ても非常に珍しい山なのですが、詳細は後ほど。
さて城山ばかり目立つ伊江島ですが、島の北部のリリー・フィールド公園、東部のハイビスカス園に代表されるような、花の公園も見逃せません!!城山に彩りを添えるかのように咲き乱れる花々は見事の一言で、さらにその向こうに広がる海が何とも言えない味わいを演出します。 海は海でダイビングの人気スポットが目白押し!!なんでも、城山に負けないほどの珍しい地形がファンを唸らせるとか。初心者から楽しめるそうなので、こちらも必見です!
※ 沖縄八景・・・沖縄を語るに欠かせない景勝地として、定められたものと思われます。塩屋湾、嵐山展望台、万座毛、比謝川、川平湾(石垣島)、東平安名崎(宮古島)、畳石(久米島)、そしてこの城山(伊江島)の八か所が沖縄八景らしいです。ただ「沖縄八景」自体にほとんど情報が無く、詳しいことはわかりません。伊江村のホームページを参照すると、1951年に沖縄八景が定められ、城山はその1位に当選したとか。果たしてその詳細は!?
伊江島の見どころ
景色を楽しむ
城山(イータッチュー)
伊江島の象徴的存在。伊江島を訪れてこの名前を聞かないことはないはずです。イータッチューと呼ばれるその山は、オフスクレープ現象という、世界的にも珍しい地殻運動により形成されており、地質学者の注目の的だとか。その証拠に、周辺の島々から伊江島を見てもめちゃくちゃ目立っているんですよね。ぜひ色んな角度から注目してみてください!
頂上へは港から徒歩30分程度、見た目のとおり少々急ですが、ゆっくり登ればそれほど難所でもありません。360度パノラマをぜひ体感してみてください!
リリー・フィールド公園(ハダ植物群落)
その名のとおり、4~5月に咲き乱れるテッポウユリがとても美しい公園です。その数は100万輪ともされ、見ごろの時期はまさに白いじゅうたん!花壇が綺麗に分けられており、見た目も美しく、一度は訪れておきたい場所。毎年GWに開催される「ユリ祭り」も必見です!また、公園内はユリ以外の植物も豊富。中でも隆起サンゴ礁の島ならではのハダ植物群落は南国の雰囲気抜群です。一面に広がるクサトベラ、アダン、モンパノキなどなど。囲まれているだけできっと気持ちいいはず!
マーガ(真井)
集落の中心にあり、18世紀ごろより使用されてきた水のきれいな井戸。水道が通うまでは非常に重宝してそうで、産湯の水としても使用されていたんだとか。いつの時代も産湯には気を遣うだけに、井戸から汲み上げたものが使用できるなんてオドロキですね!今はコンクリートでフタをされているのが少しさみしいですが、古き時代のエピソードから思いを馳せてみてください。
ミンカザントゥ
こちらは貯水槽。サンゴ礁隆起によって形成された島は、往々にして水資源の確保が難しいものです。そのため、岩盤で受けた水を溜めこむなどの工夫がなされていました。それがミンガザントゥです。村指定の有形民俗文化財に指定されています。
湧出(わじー)
その名のとおり、水が湧き出る場所です。島の北部にあり、現在は道も舗装されています。しかし、昔は険しい道を越えてようやくたどり着く場所だったとか。述べたように、水資源が貴重な島です。今でこそ崖と海が美しい景色にしか見えませんが、生活のために水を汲むのもひと苦労だったことが伺えます。
ニャティヤ洞
港から西へ徒歩45分。岩がたくさん転がっている洞窟です。「力石」と呼ばれる霊石があり、古くから、子宝に恵まれない女性が持ち上げると願いが叶うという言い伝えがあります。また、その石が重いと感じれば男の子、軽いと感じれば女の子を授かる、なんて話も。女の子が欲しければ、筋力トレーニングが必要ってことでしょうか。洞窟からの景色は一面の海。晴れている日はきっと綺麗でしょうね!
ゴヘズ洞窟遺跡
米軍飛行場と伊江島空港の間にあるのがこのゴヘズ遺跡。シカやコウモリ、トゲネズミといった動物化石のほか、約2万年前のものと推定される人骨まで発見されています。こういった島にも、2万年も前から人が住んでいたと思うと、なんだか不思議ですね!?
施設を楽しむ
伊江村青少年旅行村(浜崎貝塚)
島の東側、モクマオウの木々が茂る林の中にあります。キャンプはもちろん、野球、テニス、ゲートボール、ビーチバレーと老若男女楽しめる設備が充実!子供たちを連れたキャンプなど、団体旅行に適した施設です。
また、施設の東側海岸沿いには2500~3500年前の遺跡があり、沖縄県指定の貝塚となっています。
具志原貝塚
現在のフェリーターミナルの手前にあるのがこの貝塚。ここで沖縄としては初めて九州産の弥生式土器が発掘されるなど、かつての交易について知る足掛かりにもなりました。中でもゴホウラ貝と呼ばれる貝製品が多く出ており、当時の貝文化を物語っています。
島村屋観光公園
公園内には民俗資料館があり、島の祖先が営んだ生活を知ることができます。人々が日々凝らしてきた工夫が垣間見えるはず。※ 営業日:年中無休、営業時間:9時~17時半、入場料金:大人400円・小人200円
戦争を知る
アハシャガマ
島の北東にある洞窟。太平洋戦争においては激戦区に見舞われた伊江島。徐々に不利になっていく戦局にあって、伊江島の人々も追い詰められていきます。その時、人々が避難したのがこの洞窟でした。気が気でなくなるような状況下、およそ150名の島民、防衛隊員が逃げ込んだそうです。洞窟まで島民らを追い詰めた米軍は降伏を求めたそうですが、当時は降伏することを恥とする風潮から、とある防衛隊員が自決を選択。覚悟していた人、巻き添えをくらった人など、多くがここで命を落としました。現在は遺骨は収集され、後述の芳魂之塔に合祀されています。
伊江島反戦平和資料館「命どぅ宝の家」
沖縄線における戦争遺品などが展示された資料館。「命どぅ宝」は「ぬちどぅたから」と呼び、「命こそ宝」という意味を持っています。また施設の壁には、聖書の言葉を用いて反戦を強く訴えるメッセージが書かれています。この建物の建立に強く関わったのが伊江島出身の反戦運動家でキリスト教徒の阿波根昌鴻(あはんごんしょうこう)。随所から感じ取れる彼のメッセージに、命について考えさせられます。