アニマル~光馬~疾風~ダッシュKEIO
日本独自の文化とも言えるかも知れません。白球を追った一投一打に沸く、野球場の熱気をさらに加速させる応援歌の存在です。「血沸き肉躍る」なんて言葉がありますが、選手を鼓舞することはもちろん、応援している関係者、ファンまでもを時に身震いさせてしまいます。 2005年春、3月24日夕刻。選抜高校野球大会に45年ぶりに出場した古豪が注目を浴びました。夏はともかく春の甲子園は滅多なことでは満員になりません。それこそプロ注目選手の所属する高校の試合が、土日に組まれでもしない限りは満員にはならないでしょう。当然、その日も満員はありませんでした。しかし、それにしては大観衆が陣取ったかのような、まさに地鳴りのような応援が響いているのです。当時、大学入学直前だった筆者は、甲子園球場にほど近いショッピングセンターにてアルバイトをしていましたが、球場の外でもその唸る大音量を感じました。
何事かと思い、球場に入った筆者(外野席は無料で入場可能)。地鳴りの主、45年ぶりの出場校こそ、慶応義塾高校の大応援団でした。筆者は地元関西の高校を卒業し、そのまま併設の大学へ進学したため、慶応高は名前こそ知っていても無縁の存在でした。地元・兵庫、大阪の高校ならともかく、地元外の高校でこれほどの声援が・・・。おもわずチケットを買い、アルプススタンドへ向かいました。 アルプススタンドは現役生やOB、保護者、大学の学生らで大盛り上がり。慶応高はさすがに大学の付属高校。高校野球界ではほとんど見られない、六大学スタイルの応援です。いわゆるアニメソングなどの引用曲が定番の高校野球において、慶応高は全曲オリジナル。曲間途切れず次の曲へ移行する演奏が特徴的です。さすがはマンモス校といったところ、在校生もOBも保護者も関係なく、肩を組んで声を枯らします。そしてチャンス時、極めつけは有名すぎる名曲「ダッシュKEIO」。もはや有名すぎて全国の高校においても定番の、誰もが一度は聴いたことがあるアレです。
しかし当の慶応高は甲子園出場は45年のブランク。45年前の出場時には「ダッシュKEIO」は存在していませんでした。誰もが聴いたことがある甲子園の応援の象徴的な曲であるのにも関わらず、元祖であり本家本元の慶応高にとっては、この日が甲子園で初の「ダッシュKEIO」だったのです。 その大会、慶応高は準々決勝(ベスト8)まで進出。古豪の名に恥じない結果を見せつけ、再び常連校へと成長していきます・・・。
(YouTube)
※ダッシュKEIO~若き血(YouTube)