生ハムメロン、生ハムマンゴーは「美味しくなさそう」
生ハムメロン、生ハムマンゴーなんて言葉を聞いたことがあるでしょうか。そうです。イタリアの乙な料理として有名なアレですね。皆さんはどんな印象を抱いていますか?食べたことはない。けれど、想像はつく・・・、という方が多い気がします。 ある日、たまたま筆者の実家の食卓にメロンとマンゴーが揃いました。今までこんな高価なものが同時に揃うことはなかったのですが・・・、同時に揃った瞬間、あるキーワードが。そう、「生ハム」という言葉が浮かびました。さっそく近所のスーパーへ自転車を走らせ生ハムを購入。クックパッドやボブ&アンジーなど、どのレシピサイトを見ても他に凝ったことはしていません。お洒落に切って巻いたり、パセリを添えたり色々ありましたが、結局はメロン、マンゴーと生ハム同時に食べるだけです。・・・で、こうなりました(笑)
・・・え、えーと感想は・・・、なんていうか、これなら別々に食べたほうがいいと思います。 実はこんな食べ方をしたのにはもう一つ理由が。生ハムを買いはしたものの、「おそらく美味しくないだろう。」 これが家族の共通意見だったのです。なので凝った切り方などせず、すぐ生ハムを避けて普通に食べられるように、「とりあえず乗せてみた」。それがこの写真です(笑)。
でも、はたして美味しくないものが料理に成りうるでしょうか・・・?
生ハムメロン、生ハムマンゴー、本当に美味しくない・・・?
さて!前頁の文章は3年ほど前に、とあるSNSの日記として更新した記事を少しいじったものです。当時は確かに「そんなに美味しくなさそう」「別々に味わえばいい」、そんな結論でした。3年経ち、「ジュニア野菜ソムリエ」という資格を取得した筆者が今思うことは、改めてその感覚は正しかったということです。 しかし、間違えてはならないのですが、料理を否定しているわけではありません。googleなどで検索すればわかるのですが、正直な話、生ハムメロン、生ハムマンゴーを安直に「美味しくない」と評価している人があまりにも多いのです。(前頁の私もそうでしたが・・・)
では、「美味しくなさそう」「別々でよい」という感覚のどこが正しかったのか。以下の表をご覧ください。
~広辞苑より~~農林水産省見解~
野 菜
食用とする草木の総称食用に供される草本性植物で加工度の低いまま副食物として利用されるもの。 (副食)
果 物
草木の果実の食用となるもの定義は特になく、統計上「果樹」として分類。多年生作物の木本性植物。 (嗜好品)
以上は、野菜と果物の違いを説明したものです。「突然何の話?」と思うでしょうが、ここに「生ハムメロン・マンゴーが美味しくない」という誤解のヒントがあります。たとえば、この分類で見ると、いちごやバナナは果樹ではなく食用の草木とされます。今まで果物として食べていたものですが、定義にあてはめるなら、いちごやバナナは野菜なのです。実は、スイカやメロンも木には成らないのでこれにあてはまります。さも果物のように食べているが、実は野菜。これらを果実的野菜と呼びます。 逆もあります。柚子・すだち・レモン・アボカド、これらはサラダなどでよく見かけますね。見た目は果物ですが、それを単体で食べるということは少ないと思います。しかし、果樹であり、木本性の植物ですので、立派な果物です。未熟なパパイヤや、マンゴーなどもこれにあてはまるのです。これらは野菜的果実といいます。
これらから何が言えるか、それは・・・
生ハムメロン、生ハムマンゴーの本当の食べかた
「美味しくなさそう」と感じるのは当然なのです。そう思う人は生ハムメロンや、生ハムマンゴーを勘違いして食べていたのです。特に現在、流通において市場に出回っているメロンやマンゴーは、どちらも果物として並んでいるのは言うまでもありません。(前頁のとおり、メロンは正確には果実的野菜です。) つまり、生ハムメロンを果物で食べていること自体が間違っていたと言えます。本来は、熟す前の野菜と共に食べるイメージでなくてはならなかったのです。 生ハムには塩分が含まれます。市販の物はともかく、本場の生ハムであれば味付けには岩塩を用いますが、天然成分が含まれますのでミネラルが豊富で優しい口当たりと言われいてます。そんな生ハムは、サラダなどによく用いられるのは周知のとおりでしょう。つまり、青臭い程度の野菜と相性が良いのです。完熟して甘みに優れた果実や果実的野菜と食べるのは、やや的外れだと言えるのではないでしょうか。(もちろん味覚は人それぞれですが。)マンゴーも完熟していない、野菜的果実の状態で食べると、また違った味わいを醸し出すことでしょう。したがって、生ハムメロンや生ハムマンゴーを、完熟した果物と食べて「美味しくない」と思うのは当然だったと、ここでは結論付けます。
先に述べていますが、完熟していない状態のメロンやマンゴー、基本的には流通していません。農家さんからそういったものを分けていただくのが手っ取り早いでしょうが、なかなかそうもいかないでしょう。しかし、近しいもの、たとえば「生ハムパパイヤ」や「生ハムきゅうり」で検索してみてください。きゅうりはメロンと同じウリ科の野菜ですから「生ハムメロン」のかわりに、パパイヤは野菜的果実としても流通しますので「生ハムマンゴー」のかわりになると想像できます。色々と食べ方があるんですね!
さて、それでも「美味しくなさそう」ですか・・・?
それでもお口に合わなかったら・・・すみません。
(生ハムときゅうりは・・・わりと一緒に食べる)