デンマークの首都、コペンハーゲンの150キロ南にある島、ロラン島。この島では電力の全てを自然エネルギーから生み出しています。沖縄本島ほどの広さの島に600基の風車がひしめき合いながら建っています。その自然エネルギーの内訳は、「風力発電」が9割、残りの1割をバイオマスなどで発電しています。ほかにも自然エネルギー100%を実現している島はありますが、人口6万5千人の規模で実現しているのは世界でも希少です。
◆ロラン島が風車で電力を生み出せる理由1、土地が平らで風がよく通る特性が風力発電に向いている
2、農地が多く、風車を立てる場所がたくさんあった3、島の造船業が廃れてしまい、新しい産業を求めていた
◆失業率が20%から7%に回復
1980年から原発に頼らず、自然エネルギーの道を進めてきたロラン島。当時、造船業が廃れて20%を越えていた島の失業率は、風力発電産業や自然エネルギーを使って製品を作りたいという企業などを誘致して雇用を回復していき、失業率は7%にまで下がりました。風車が使う部品は1万種類を超えます。さらに風車が増えるほど、メンテナンス技師もたくさん必要になってきます。ロラン島にはメンテナンス技師養成所があり、「職を作る」最前線の役割も担っています。自然エネルギーは沢山の仕事を生み出しています。
◆デンマークは節電大国ひとり当たりのGDP(国内総生産)の世界ランクを見ると、デンマークは6位と上位に入ります。実はデンマークでは、常に節電することが求められています。デンマークは原発を拒否したものの、電力需要は高まる一方です。そこで、電力会社同士が節電競争をして、より節電できた電力会社は、より多くの利益を上げられる仕組みを作りました。そして、顧客である産業界に対しての電力供給は、産業用の電気料金が高くならないように設定して、競争力が落ちないようにしています。
◆65人にひとりが風車のオーナー
風車の持ち方もバリエーション豊かです。島の600基の風車の半分以上は住民達の物ですが、一人で持っている人、共同で持っている人を全部あわせると、風車オーナーは1,000人を超えてしまいます。島の人口は6万5千人。ということは、65人に一人が風車を持っているということになります。1970年代に始まったデンマークの風力発電産業はいまや世界一になっています。現在、デンマークの風力発電企業は世界シェアの15%以上を占め、世界65カ国で、デンマーク製の風車がつかわれているそうです。