twitterを眺めていたら、あるつぶやきが印象に残りました。
「週末楽しすぎて月曜つらみ」「あついよアイス欲しみ」
「つらみ」だけだとちょっとわかりづらかったのですが、「欲しみ」を見てなんとなく意味はわかりました。
「形容詞」+「み」
「月曜日はつらい」「アイスが欲しい」ってことですよね。
「つらい」も「欲しい」も「形容詞」です。その終止形の語尾「い」を「み」に替えると「雰囲気が可愛く、柔らかくなる」ということで、「つらみ」「欲しみ」といった表現が女子高生を中心に浸透していったんだそうです。
形容詞の中にはもともと「赤み」「渋み」といったように「み」をつけられるものがあります。使い方としては「赤さ」「渋さ」とほぼ同じですね。
しかし「つらさ」「欲しさ」はあっても「つらみ」「欲しみ」はありません。この辺の違和感もむしろ独特の余韻になるんでしょう。
形容動詞もいける
「静かだ」「快適だ」のような形容動詞も「静かさ」「快適さ」というように「さ」をつけることで「程度」を表す名詞的な用法がありますが、「み」をくっつけることはありません。
でもそんなのはいいんです。くっつけちゃいます女子高生は。
「あー海静かみ」「そと37℃なかエアコン快適み」
助動詞もアリ
「食べたい」「遊びたい」のように動詞にくっつく助動詞の「たい」の最後も「み」に置き換えてしまいます。
「ピザ食べたみ」「カラオケやりたみ」などです。品詞の違いはありますが、もともとこの表現の発祥となった形容詞と同じように「い」を「み」に替えることでちょっと可愛い、柔らかい雰囲気を出そうと言うわけです。
「み」+アルファ
若さは暴走するもの。結局は品詞なんか何でもいいから「み」をくっつけてみて「いけそうならそれでアリ」です。
「センパイが作ってくれた資料のわかりみ泣ける」
ここまで読んだあなたはもう意味がわかってしまうのではないでしょうか?そう、
「センパイが作ってくれた資料のわかりやすさに感謝の涙が出る」です。
ここで重要なのは「わかりみ」のあとの「泣ける」です。このように「み」のあとに「程度・評価・感情」を表す言葉を続けることで意味を補強するわけです。これまでに挙げた言葉を補強してみると
「週末楽しすぎて月曜つらみ深い」
「あー海静かみ沁みる」
「ピザ食べたみエグい」
です。慣れてくるとじゅうぶんしっくり来ます。ちなみに筆者がこの「~み」を意識し始めたのはつい最近のことなのですが、調べてみると「女子高生流行語大賞2016」で「第10位」に選ばれていたようです。知らなかった…。
進化は止まらない
ちょうどタイムリーなニュースが入ってきました。先ごろ発表された「2018年上半期のJC・JK流行語大賞」の第1位に「あげみざわ」が選ばれたのです。
一見これまでに取り上げてきた言葉と関係なさそうですし、古い世代の方には「三沢あけみ」にしか見えないこの言葉。分解するとわかります。「あげみ+ざわ」です。意味は「気分がすごく高まる」です。
まず若い人の言葉では「アガる・アゲる」で「気分が高まる・高める」を意味します。この「アゲる」を「~み」形に変化させたのが「あげみ」。
後ろにくっつく「ざわ」の起源については「ざわつく」の「ざわ」じゃないかとか諸説あるようですが、筆者の個人的な見解ではリズムとか語呂みたいな単純なことだと思います。「○○みざわ」ですから、ヘタしたらルーツは「高見沢俊彦」かも知れません。
彼女たちに敬意を
かなり古い話ですが…上京したばかりのころ、山手線の中で数人の女子高生が当時人気絶頂だったアイドルグループ「光GENJI」の話をしていました。
その中でひときわ大人っぽい雰囲気を放っていたひとりが、こう言いました。
「光GENJIってさあ…ぐるぐるぐるぐる回ってるから誰が誰だかわかんなくなっちゃった」
筆者はその時「東京の女子高生ってすげえな」と震えたものです。
昔も今もボヤ~っとしている男子と違って「女子高生の言葉」は時代を作りますね。今後も敬意をもって聞き耳たてていこうと思います(^^)!