自閉っ子の人生初インフルエンザ ~激闘編~

1月27日の土曜日。目を覚ましたあとぼんやりと「きょうは寒いからスイミングを休ませようかな…」と考えながら娘の超かわいいおでこをさわると

「あ!熱い!」

脇に挟む体温計は狂ったように嫌がるので、まだ寝ているうちに「赤外線でピピピ」というタイプの体温計をおでこに向けてみると「38.1℃」も!

滅多に風邪をひかないのが取り柄の娘ですが、前日から学年閉鎖となった学校でインフルエンザをもらってしまったのかも知れません。さっそくかかりつけの小児科へ向かうことにしました。

光線ピピピの体温計。起きている時はこれを向けるだけでもイヤがります。これを向けられている時は「何か自分に落ち度がある」と思ってるみたいですw

その小児科はインフルエンザが流行していなくても常に駐車場が満車ですから、妻だけ受付を済ませてわたしは娘を乗せて周辺をぐるぐる。しかしいつもと違っておとなしい(いつもは赤信号などで停まるだけでも何か文句を言っている)ので、運よく1台分空いたタイミングでクルマを停め、ひたすら待ちます。

ふだんなら絶対できないのに、1時間以上クルマでおとなしく待っていられることが既に異常。心配です。名前を呼ばれてようやく待合室へ。

待合室で過去の記憶がよみがえったのか騒ぎ出す娘。そして診察室へ。自閉症についても専門的な知識があり、ウチの娘のこともよくご存じの先生ですからパパパッと診察してくれますが、娘にとって鼻に綿棒を突っ込む検査はまさに地獄。大暴れするのを私たち夫婦と看護師さんの三人がかりでなんとか押さえます。大人三人が全力です。

やっぱり陽性…

検査の結果は陽性。インフルエンザB型でした。娘にとって人生初のインフルエンザです。私と娘がクルマに戻って待つ間、妻は先生と薬の相談。さんざん迷いましたが「タミフルは使わない」ことを選択し、つらい時だけ解熱剤と咳止めを飲ませることにしました。さあ、闘いの始まりです。

1日目(土曜日)

看護師さんに「娘さんにマスクを着けるか、お父さんお母さんもマスクを着けてくださいね」と言われましたが、それは無理なのです。娘は感覚過敏からなのかマスクは絶対に着けませんし、わたしたちがマスクを着けるのも嫌いらしく、すぐにむしり取ってしまいます。

それでも、いつもは常に謎の歌を歌いつづけ、とにかく多動でじっとしていない娘がこの日はとてもおとなしいので、わたしたち夫婦は「なんかかわいい♪」と、つかの間の「静かな娘」を堪能しました(そんなことしている場合じゃない!)。

2日目(日曜日)

熱が一時38.5℃まで上昇。娘にとって未体験の高熱であり、頭も痛いようで自分の掌底のあたりで頭をガンガン叩こうとするので、娘の頭にわたしの手を当てて掌底を受け止め、せめてワンクッション入れます。力が強くなったなあ…イテエ!

断続的ではありますが、日中午後はずっと暴れていたのではないでしょうか。パニックの時の怒り狂ったような泣き方ではなく、とてもつらそうに「めそめそ泣く」のはとても珍しいこと。

何がつらいのか表現できない娘とわかってやれない親。互いに試練の1日となりました。

3日目(月曜日)

朝、娘のおでこを触ると熱が下がっています!妻に「下がってる!」と報告し、うれしくなって親やきょうだいにも熱が下がった旨を報告。正直言ってこのまま治ってくれると思っていました。

問題があるとすれば、娘はちょっと調子が良くなると布団にはいてくれず、すぐに動き回ってしまうこと。それでも「元気そうだからいいか」と思い、暖房と加湿に気を使いながら好きなようにさせていました。

でもそう簡単なインフルではありません。夜になると娘の熱はまた38℃に近づいたのです…。

そうやって調子に乗るからだよう、バカチン。

4日目(火曜日)

この日は今年ずっと風邪気味だった妻がとうとうダウン。病院へ行ってインフルエンザの検査を受けてきましたが結果は陰性。実は妻はもともと「異常なほど高熱を出す風邪」が持病なのです。

お医者さんに「なんで普通の風邪でこんなに熱が出るのかね?」と不思議がられるほど「必要以上に体が闘っちゃう」そうで、この日の高熱も「いつもの持病の風邪」によるもの。娘は微熱が続いてぐったり。とにかく母娘揃ってダウンです。

夜になると娘の熱が上がりつらそうだったので、覚悟を決めて解熱剤を飲ませることにしました。なぜ「覚悟」かというと娘は薬を飲むことができないのです。

作戦はいつもこれ、顆粒の薬を少量のアイスクリームに溶かし、薬用のプラスチックスプーンで無理やり流し込むのです。

娘を力づくで床へ仰向けに。わたしの太ももで娘の二の腕を抑え、わたしの手で娘の手を掴みます。

そこへ熱さまシートをおでこに貼ったまま気合で起きてきた妻が薬入りスプーンを持って登場!娘の太もものあたりにまたがり、動きをとれなくします。

娘が嫌がって口を開いた時がチャンス!そこへスプーンを押し込み、薬入りアイスを流す!

飲み込むまでその体制を続けます。すごく暴れるし怒るのですが、薬を飲ませるにはこの方法しかないのです(これも娘が大きくなるにつれて難しくなってきましたねえ)。

5日目(水曜日)

娘と同じく滅多に風邪をひかないわたしも頭痛と関節痛を感じた(熱はなし)ため、妻と娘が爆睡しているスキをみて病院へ。しかしわたしもインフルエンザ検査の結果は陰性で、先生も「風邪薬が欲しかったら処方するけどどうする?」ぐらいの気楽な提案。実際、その薬を飲んだら午後には楽になっちゃいました。

娘は微熱のまま。妻はまだダウン。わたしが病院へ行く前の1時間ぐらいは家族3人全員が寝室でゲホゲホ苦しんでいるという悲惨な光景だったので、わたしが看病できる側になれてまずは一安心です。

でも、もうこんなのは嫌です。あしたこそ二人の熱が下がりますように…(次回へ続きます)