「朝起きたらいきなり満開。一度に咲いたのでびっくりしちゃった」
被災した時計台が仮置きされている大船渡公民館前の公園を歩いていたら、散歩中の地元の方から声をかけられた。
前日までぱらぱらっと咲いているばかりだったのが、一夜にして花盛り。まだ花びらを一枚も散らさない満開の絶頂。きっと時計台もびっくりしたことだろう。
桜と椿が満開の競演。眼下には復興が進む町の様子が広がる。しかも、遠く五葉山には雪も残る。こんな景色を楽しめるのは高台にあるこの場所ならでは。
そんな風に考えると、時計台もこの場所を終の住処として覆いを外してもいいように思えるが、地元の新聞記者さんは、やはりいずれは平地に戻る予定になっていると言うのだが。
オープン間近の中心商店街の外構には、花が付いた桜の若木も植えられていたが、平地に帰った時計台が大きく育った桜の木に囲まれるのは当分先のことになるだろう。