仙北平野の秋

遮るもののない仙北の平原に太陽がゆっくりと傾いていく。空に広がる雲はもう秋の装い。9月ひと月で日暮れが急に早くなったのを痛感する。

車を運転しながら聞くFMでは、森山直太朗の「夏の終わり」が繰り返しかけられている。コンサートの告知らしいのだが、耳にするたびに季節の変化を思う。初秋の空に日が傾く景色を目にするたびに、森山直太朗の歌声が聞こえてくる。

朝晩はもう肌寒い。数週間前まで短パンをはいて歩き回っていたのが遠い昔のことのよう。「もうすぐ冬だぞ」と、南国からやってきた自分を気遣って声を掛けてくれる人もいる。たしかに、長い冬がもうすぐそこまで近づいている。

いまは黄金色の仙北平野も冬になれば一面の雪景色。地吹雪が吹き荒れる厳しい道になる。冬の寒さを思うと、夏の終わりを告げる秋空に尚のこと愛着を覚えてしまう。

ただ、寒い冬もまた季節のひとつ。この土地を流れていく時間の一部分。夏の終わりを惜しむのではなく、日々近づいてくる新しい季節を迎えたいとも思う。(以上、秋空のせいで少しセンチメンタルになっての独り言)

それに、冬が来る前に迎えるのは実りの秋。サンマもずいぶん安くなった。先日は栗ご飯もいただいた。秋鮭、イクラ、茸、そして牡蠣。新米もある。新酒もある。アカザラ貝やトシルなど、寒い季節ならではの恵みも多い。めぐる季節を楽しまなければ!