【観戦記】 [準々決勝]ミスが目立った前戦、立て直すことはできたのか? 加藤学園対桐陽 ~第69回静岡県秋季高校野球東部大会

8月27日は準々決勝が行われました。
勝ったチームは今月17日から始まる県大会出場が決定します。

この試合の1週間前の8月20日、加藤学園は3回戦で強豪富士市立と対戦しました。5回終わって7-0。あと1歩でコールド勝ちというところまで追いつめてからミスが連発、終わってみれば10-8という試合でした。

加藤学園 210 310 012 | 10
富士市立 000 005 111 | 8

あれから1週間。気持ちの切り替え、そしてチームの立て直しはしっかりできたのでしょうか。
試合前のシートノック。いつもの加藤学園のシートノックを見ると『さすが鍛えられているな』と感じることも多いのですが、この日はいい動きをしていた選手もいましたが、精彩を欠いている選手がかなり目立ちました。少し嫌な予感はしたものの、正直ここで負けることはないだろうと思っていました。

実は加藤学園の先発ピッチャー武藤くんと桐陽の先発ピッチャー武藤くんは兄弟です。加藤学園のお兄ちゃん武藤くんはかなり細身、一方桐陽の弟武藤くんはがっちり...ちょっとぽっちゃりタイプ。兄弟対決もちょっとした見どころでした。

すべては初回に尽きる

初回、先攻の加藤学園は1アウトからフォアボールでランナーが出ました。桐陽のピッチャーははっきりボールとわかる球が多く立ち上がりかなり制球に苦しんでいました。『フォアボールのあとの初球』とは言いますが、ここはじっくり攻めたいところでした。

続くバッターに初球を投げたとき、1塁ランナーはかなり大きくリードをとりました。キャッチャーは1塁に投げる構えを見せましたが投げませんでした。おそらくキャッチャーが1塁に投げていたらアウトになっていたであろうリードの大きさでした。そして2球目を捕ったキャッチャーはそのまま1塁へけん制。1球目と同じ大きくリードをとっていたランナーはけん制でアウトになってしまいました。これは一番やってはいけないことです。

試合が始まって一番最初に出塁したランナーはピッチャーにけん制を投げさせるのは一つの役目でもあります。ランナーはそのため少し大きめのリードをとりますが、絶対にアウトにならないという大前提のもとです。常に早い帰塁を頭に置いておかなくてはいけません。1塁ランナーコーチも1球目投げたあと、『そんなに大きいリードはいらない』『キャッチャーのけん制に気をつけろ』ということばをかけなくてはいけない場面でした。次のバッターもフォアボールだったことを考えると痛恨のプレーになってしまいました。

対する桐陽の1回裏の攻撃。連打でノーアウト1,2塁としてバントで送って1アウト2,3塁。そのあと加藤学園のエース武藤くんは連続デッドボールを与えてしまいました。2つ目は押し出しデッドボールでいとも簡単に1点を与えてしまいました。尚も1アウト満塁のピンチ。ここで兄弟対決が実現しました。弟武藤くんが打った打球はレフトへのフライ。3塁ランナーはタッチアップでホームを狙います。バックホームのボールはキャッチャーの頭のはるか上を越えてカバーしていた武藤くんがダイレクトでキャッチ。2点目が桐陽に入りました。

問題はここからです。タッチアップの場合、ランナーは野手が捕球してからベースを離れなければなりません。捕球よりもベースを離れるのが少しでも早ければアウトになります。しかし、これは野手がアピールしたときのみです。審判はたとえアウトとわかっていても何もジャッジしません。アピールプレーがなければそのまま得点が認められ試合が続行します。守っている側はセーフとわかっていても、『もしかしたら』があるので必ずアピールプレーをします。

実際、加藤学園は前の富士市立戦で相手のアピールプレーによって3塁ランナーのタッチアップは認められずアウトになりました。そんなプレーを目の前で見ているにもかかわらず、加藤学園はここでアピールプレーをしなかったのです。3塁手はボールを呼んでいましたが、声も小さく最後はなんとなく諦めたように見えました。ピッチャーの武藤くんは連続死球による押し出しで頭のなかが真っ白になっていたのではないでしょうか。3塁手もなぜ最後までボールを呼ばなかったのか、理解できません。もっと『1点の重み』を考えるべきでしょう。

4回5回と致命的な守りのミスがあり5点を取られましたが、この試合は1回攻守がすべてだった気がします。

浮き足立つとはこのこと

この試合記録に残るエラーは『3』でしたがバッテリーエラーや記録に残らないエラーを入れるとかなりの数でしょう。

そして8回裏、1点取られて2-8。6点差になりました。
コールドゲームは5回以降10点差、7回以降7点差で成立します。つまり加藤学園はこの回あと1点取られたらコールドゲームが成立して試合が終わってしまうのです。

場面は1アウト1,3塁、1点取られたら負けの場面です。ここは3塁ランナーのホームインだけは避けなくてはなりません。当然内野は前進守備でバックホーム体制です。ランナーが1塁にいるのでダブルプレーでもチェンジにはなりますが、1点も取られてはいけない場面なので内野ゴロはよほどのことがない限りはバックホームです。

この大事な場面、内野手はマウンドに集まり守備の確認、そして1点取られたらコールドだということを再確認するべきでした。セカンド、ショートの守備位置はほぼ定位置でした。そして打球はショートゴロ。思いっきり突っ込んで捕球してバックホームするわけでもなく、6-4-3のゲッツーを狙うそぶりもなく、あっさりファーストに投げました。ファーストはアウトですが、当然のごとくこの時点でゲームセットになりました。

これには唖然としましたが、おそらくあと1点取られたらコールドで試合が終わるという意識がなかったのではないかと思います。

初回の走塁、そしてアピールプレー、最後のプレーの前。まだまだ他にもありますが、いずれももっと声を掛け合っていれば違った結果になったかもしれません。

最後までらしさが出ず気がつけば試合が終わってしまった、そんな感じがします。

加藤学園 001 010 00 | 2
桐陽   200 230 02X | 9
※8回コールド

加藤学園は次戦に向けてさらなる立て直しが必要になりました。
昨年の秋季大会、そして春季大会と東部大会はいずれも準優勝(優勝は日大三島)で県大会に出場した加藤学園。このままでは終われないでしょう。

明日9/3は敗者復活戦決勝

できれば準決勝として明日(3日)を迎えたかったところですが、負けてしまったものはしかたがありません。
明日の敗者復活決勝は富士宮西高と対戦します。勝てば東部地区5位として県大会に出場することができます。

とにかく『勝ち』にこだわって死にものぐるいで戦ってほしいですね。
明日は内容よりも結果ですが、快勝してここ2試合のうっ憤を晴らしてくれたら最高ですね。

明日9/3の予定

準決勝組み合わせ

敗者復活戦決勝

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