2月14日(日曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
地下水バイパス揚水井を手動停止。一時貯留タンク・グループ2でトラブル
※地下水バイパス設備において、2月14日午前9時47分、「地下水バイパス一時貯留タンクGr2水位高高警報」が発生し、一時貯留タンクへの移送ポンプが自動停止した。
念のため揚水ポンプを手動停止し、地下水バイパスの汲み上げをすべて停止した。
その後、午前10時26分、現場にて当該タンクおよび移送ポンプに異常がなく漏えい等がないことを確認した。なお、地下水バイパス一時貯留タンクGr2は3基の連結されたタンクで構成され、それぞれに水位計が設置されており、2基のタンク水位計に異常は見受けられない。地下水バイパス設備の揚水ポンプおよび移送ポンプ全台が停止したこと以外に本件による作業への影響はない。
地下水バイパスは2014年4月に揚水井からの汲み上げが始められ、2014年5月21日から海洋への排出がスタートした。現在まで排出回数は102回を数えるが、一時貯留タンクのトラブルは初めてか。
地下水バイパスの一時貯留タンク群。右上の3本、左上3本、そして三段目は左から3本のタンクが連結されて3グループ運用。貯留→分析→排水のサイクルがで排水が実施される。タンク1基あたりの満水量は約1,000トンだが、入排水用のパイプ位置関係で、800トンが実効貯蔵量とのこと。
グループ2は前回排水を実施したタンク群で、9日に排水を行ったばかりだった。グループのローテーションとして次回103回目の海洋排出はグループ1からと見られる。(現在までのところローターションは1→3→2の順だ)
東京電力は「揚水ポンプおよび移送ポンプ全台が停止したこと以外に本件による作業への影響はない」と説明を締めくくっている。たしかに、ほぼ真水(トリチウム濃度は高い)と言えるし、原発構内には汚染を含む雨水を簡易的に処理した水を散水しているくらいだから、仮にタンクから水があふれていたとしても大きな影響はなかったかもしれない。地下水バイパスの運用への影響は、ポンプを停止した時間の分だけ次回以降の海洋排出が遅れるだけと言えるかもしれない。
しかし、原子炉建屋やタービン建屋近傍の地下水位を下げるという課題の妨げになる恐れは否定出来ない。汲み上げることができなかった地下水が建屋近傍地下に流入するという問題だけではなく、地下水の流速が増すことで凍土遮水壁がさらに凍結しにくい状況を招く可能性も考えられる。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム停止中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機使用済燃料プール(以下、「SFP」という。)代替冷却系については、当該系統の弁点検のため、2月5日午後2時37分停止(2月17日午後6時までの約292時間停止予定)。冷却停止時のSFP水温度は、11.1℃であり、冷却停止時間におけるSFP水温度上昇率は0.055℃/hで、停止中のSFP水温度上昇は最大で約16.1℃と評価されることから、運転上の制限値60℃に対して余裕があり、SFP水温度の管理上問題ない。
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクEから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクEの分析結果[採取日2月8日]については、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
2月14日午前10時15分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時29分に漏えい等の異常がないことを確認。
地下水バイパス
◎日報に新規事項の記載なし
※ 9日海洋排出分の記事が記載された状態
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月13日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/10 2/11 2/12
E-1 8,100 6,900 7,600 8,900 8,100 8,000 7,100 8,200
浪江雨量(mm)0.0 1.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/10 2/11 2/12
G-1 150 180 150 120 150 150 130 160
浪江雨量(mm) 0.0 1.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/10 2/11 2/12
G-2 1,900 300 280 260 270 170 250 280
浪江雨量(mm)0.0 1.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
H6エリア周辺地下水【G-3】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 2/5 2/6 2/7 2/8 2/9 2/10 2/11 2/12
G-3 640 620 610 550 600 560 560 670
浪江雨量(mm) 0.0 1.5 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0