海辺の町に家を建ち上げる

山田町から宮古市へ海辺の国道を走っていると「あっ上棟式!」

神主さんや施主さんはまだ来ていなかったみたいだが、立派な鏑矢と蟇目矢の破魔矢が朝日に明るく輝いていた。

破魔矢の鏑矢、蟇目矢には鶴と亀も描かれていて、千年万年この家を守ってほしいとの願いが伝わってくる。朝日だけじゃない。何としてもここで生き抜くんだという気持ちが、矢飾りをキラキラと輝かせている。

新築される建物は海から近い。海岸線からは10メートルほどの段丘の上だ。海岸の国道沿いには防潮堤も造られることになっている。それに裏手はそのまま高台に続いているから、いざという時の避難場所は大丈夫だ。そんな声が上棟式を待つ建物から聞こえてくるようだ。

美しい海がある。ずっと見て生きてきた景色がある。だからなんだろう。海の近くではあるが、家を建てる。

たしかに目の前は海さ。でも、この場所で生きていく。山田湾から吹く海風が五色の幟をはためかせる。