2月9日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
雑固体廃棄物焼却設備でホット試験を開始
※雑固体廃棄物焼却設備については、2月8日午後4時5分から焼却設備の昇温を開始し、汚染のある雑固体廃棄物を用いる焼却試験(以下、「ホット試験」。)を開始。
ホット試験開始後の状況について異常がないことを確認。
【解説】ホット試験とは実際の汚染廃棄物をプラントで処理する試験のこと。具体的には、タイベック(保護衣)、下着類、ゴム手袋類などの装備品、ウエスや木、梱包材や紙等の工事廃材、廃油や使用済み樹脂、伐採木などを燃やすことになる。排ガスフィルタで汚染物質が除去できるかが注目される。
11月に発表された資料ではホット試験の開始は2月初めからとされていたが、1月27日に発表された「福島第一原子力発電所の中期的リスクの低減目標マップ(平成27年8月版)関連項目の取り組み状況について」に掲載されたスケジュール表よると、ホット試験は2月中旬から。運用開始は2月末・3月初めからに改訂されている。
1号機 原子炉格納容器ガス管理システムを「停止」
・原子炉格納容器ガス管理システム停止中
1号機 原子炉格納容器ガス管理設備の制御サーバ多重化等の改造工事、2月8日午後2時42分作業を終了。9日午前9時40分より作業開始
・1号機原子炉格納容器ガス管理設備については、2月8日から2月12日まで作業日毎に当該設備を停止して、特定原子力施設に係る実施計画「III特定原子炉施設の保安」第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、当該設備の信頼性向上を目的とした制御サーバ多重化等の改造工事を実施。
2月8日午前9時41分より同項を適応して当該作業を開始。(既出)
午後2時42分に同日分の作業を終了。当該設備の動作確認において異常がないこと、また放射線モニタの指示値に有意な変動がないことから、午後5時5分に同項の適用を解除。
なお、当該設備の停止期間中における関連監視パラメータに異常なし。
2月9日午前9時40分より同項を適応して当該作業を開始。
上記2項の他、日報に新規事項の記載なし。
2号機
◎日報に新規事項の記載なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
3号機 使用済燃料プール水の放射能分析結果を発表。分析結果に有意な変動がなく、燃料破損の兆候がないことから、燃料交換機の操作卓等の落下に関連する放射能分析を終了
使用済燃料プールにおける燃料交換機の操作卓等の落下について、2月8日採取した使用済燃料プール水の放射能分析結果は以下の通り。
・セシウム-134 2.3×10^5Bq/L
・セシウム-137 1.1×10^6Bq/L
・コバルト-60 検出限界値未満(検出限界値8.5×10^2Bq/L)
前回と比較して有意な変動はなく、燃料破損の兆候は確認されていない。
使用済燃料プール水については、燃料交換機操作卓等の落下発生から定期的に放射能分析を行い、燃料破損の兆候監視を継続してきたが、これまでの分析結果に有意な変動がなく、燃料破損の兆候がないことから、本件に伴う使用済燃料プール水の放射能分析を終了するが、3ヶ月毎に行っている定例分析において、今後も水質監視を継続していく。
なお、使用済燃料プール内の燃料交換機操作卓を含む大型瓦礫については、昨年11月21日に撤去が完了している。
※ 整数表記に置き換えると、
・セシウム-134 230,000Bq/L
・セシウム-137 1,100,000Bq/L
・コバルト-60 検出限界値未満(検出限界値850Bq/L)
プール水の汚染度の高さには驚かされる。
その他の項目に新規事項の記載なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
4~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクAから海洋排水を実施。排出量は766トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクAの分析結果[採取日2月2日]については、運用目標値を満足していることを確認。2月8日午前10時18分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時35分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後3時38分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は766m3。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクBからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの分析結果[採取日2月3日]については、運用目標値を満足していることを確認。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(2月1日採取分)
地下水バイパス 通算102回目の海洋排水を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の分析結果[採取日1月28日]については、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
2月9日午前9時55分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時15分に漏えい等の異常がないことを確認。