今日、1月26日は「文化財防火デー」です。 文化財防火デーは、貴重な文化財を火災などの災害から守るとともに、防火運動を展開し、国民一般の文化財愛護に関する意識高揚を図る目的で1955年、現在の文化庁と消防庁によって定められました。
そこで、今日は貴重な文化財の火災予防について考えたいと思います。
文化財防火デーを制定する契機となった火災
文化財防火デーはある貴重な建築物の火災がきっかけとなって制定されました。
それは奈良県斑鳩町にある「法隆寺」です。ご存知の通り、法隆寺は現存する世界最古の木造建造物。日本のみならず、人類のかけがえのない財産として世界遺産にも登録されています。
その貴重な遺産で67年前の今日、火災が発生したのです。火事があったのは法隆寺のなかでも特に重要で、最も古い建物のひとつである金堂です。出火原因は、壁画の模写をしていた作業員が保温用に使っていた電気座布団のスイッチを切り忘れたことによるとされています(※この他に放火説もあります)。この時の火災で国宝の十二面壁画などが焼損しました。これをきっかけに文化財保護の機運が高まり、文化財防火デーが制定されることになったのです。
文化財の火災予防としてできること
貴重な文化財を火災から守るためにできることは何か?その大半は所有者による予防対策になりますが、私達にできることがないかというとそうでもないと思います。
まずすぐに思いつくこととして、火災を発見した際にためらわずにすぐに通報したり、初期消火を行うことなどがあります。また、文化財の近くに住んでいる方は、地元消防団に所属して消火活動を行うことも考えられます。その他、挨拶をするといった声掛け運動も火災予防に役立つかもしれません。
といいますのも、内閣府が公表している資料によりますと、文化財建築物で発生した火災の出火原因の約65%は「放火及びその疑い」によるものだからです(※平成9年から平成18年までの10年間のデータ)。
放火犯は人目を気にすることが多く、声を掛けることにより放火の予防効果があると言われています。
文化財によっては観光客が多く、声を掛けるのは実際問題として難しいかもしれませんが、放火の大半は夜間など人通りが減ってから行なわれる傾向があるので、施設閉館後は顔見知りのご近所さんだけに限らず挨拶をするといいかもしれません。
文化財を守るためにできること
国土の約70%が森林という日本では、歴史的な建築物を始め多くの文化財は木でできており、防火対策は重要です。浸水などとは異なり、火災の発生は取り返しのつかないことになります。
文化財防火デーの今日、所有している人もいない人も文化財の火災予防について考えてみてはどうでしょうか。
また同時に、近所にある文化財の価値について改めて考えるのもいいかもしれません。なぜなら、火災だけに限らず人類の貴重な財産を守るのに一番有効なのは、その価値を知ることだと思うから。