冬こそ「恋人の聖地」遠野のめがね橋へ

宮沢賢治が「銀河鉄道の夜」を着想したと伝えられる、岩手県遠野のめがね橋(宮守川橋梁)の5連アーチが美しくライトアップされています。いまが見頃ですよ♡

夜のめがね橋は幻想的で幽玄なのです

現在のめがね橋は、1943(昭和18)年に改修されたもの。かつて宮沢賢治が見た橋梁は、橋脚の部分が今も残っています。ほら、ライトアップされた橋の手前の塔のようなシルエットがそうですよ。

めがね橋はJR釜石線(銀河ドリームライン)の橋。だいたい1時間おきに列車が走るのですが、今夜は走っていませんねぇ。残念!

それでも、夜の闇の中に浮かび上がるアーチは、すい込まれてしまうくらい幻想的。この橋をゆっくりと走っていく列車の窓の灯りに、きっと宮沢賢治も魅了され、「銀河鉄道の夜」の世界を空想したに違いありません。

賢治は橋のどちらから、夜空を行く列車を眺めたんでしょうね。列車の時刻を調べて、通過する時間に合わせて見に来たのでしょうか、それとも宮守川に鉱石探索に来た時に偶然出会ったんでしょうか。もしかしたら、釜石の親戚の家への行き帰りに、列車の上から町の灯を目にしたのが最初だったのかもしれませんね。

美しい夜の橋を見ていると、いろいろ想像してしまいます。

めがね橋に交差する国道283号線からの光景もすてきですよ。

めがね橋は恋人たちの聖地なのです

2009年には「恋人の聖地」にも選ばれました。ぴったり二人がけのベンチも設置されています。このベンチに座って二人で賢治の童話を読むなんてのもいいかも(ちょっと出来過ぎかな)。二人っきりで記念撮影するなら、自撮り棒があると便利かも。

この日(12月30日)の気温はマイナス7度でした。だけどこんなにロマンチックなシチューションだから、恋人たちは寒さなんて感じないかもしれませんね。ひとりで出かけた私には、長時間外にいるなんて、とてもじゃないけど不可能でしたが。

遠野市のHPによると、ライトアップは毎日、日没から午後10時まで行われているそうです。恋人の聖地は、めがね橋に隣接する道の駅みやもりの庭園の中にあります。道の駅の販売所「森の市場mm1」は夕方までの営業ですが、店舗がクローズされた後も、休憩コーナーは24時間オープン。寒い冬にはうれしいかぎりです。

めがね橋は遺産指定された橋なのです

こちらは日中のめがね橋。2002年に土木学会選奨土木遺産に選ばれたという説明パネルもあったりします。なになに……

平成14年11月2日 土木学会選奨土木遺産の認定を受けた「めがね橋」は、鉄筋コンクリート充腹5径間アーチ橋の景観に調和した設計であり、当時の鉄道土木技術の高さを示すものである。

引用元:土木学会選奨土木遺産「通称・めがね橋」の説明パネル

「充腹5径間アーチ橋」ってちょっと難しいですが、たしかにこの橋の佇まいは、建築好きな人、近代化遺産マニアの人たちにはたまらないでしょうね。山があって、川が流れていて、遠野らしい民家が点々とする中にある5連アーチのめがね橋。2009年にはこの風景まるごと「遠野遺産」にも認定されたんですよ。

めがね橋をバックに、誰かが作った小さな雪だるま。ちょっとほっこりした気持ちにもなったのでパチリ。

めがね橋はSLも走るのです

めがね橋のある風景は遠野のシンボル。今度は列車が走る時間に合わせて行ってみたいと思います。できれば、銀河ドリームラインをSL銀河が走る時に合わせて……。

~ 一夜限りの特別運行 ~「SL銀河ナイトクルーズ」

2015/03/29 に公開

2014年12月6日、「銀河鉄道の夜」を感じてもらうために、宮沢賢治が着想したと­されている『めがね橋』での走行風景を中心として沿線の自治体である花巻市・遠野市と­連携し、1年の運行を締めくくるものとして宮沢賢治と民話の里遠野を訪ねる旅「SL銀­河ナイトクルーズ」を運行しました。

めがね橋(宮守川橋梁)

恋人たちも、お一人様も、ご家族連れも、遺産マニアのみなさんも、めがね橋で遠野のロマンを体験してみてくださいね~☆