なおちゃんを救う会のFacebookによると、なおちゃんは28日、無事に羽田空港からアメリカに向けて出発したとのこと。掲載された機体の写真のシリアルをFlightAwareで検索すると、同機はアラスカ経由ですでにニュージャージー州テターボロ空港(入院予定の病院まではハドソン川を渡ってすぐのところにある飛行場)からジョージア州に向けて出発/到着済みなので、なおちゃんは無事に病院に入ったものと思われます。
一安心です。これからドナーが現れてくれるのを、ひたすら待つ時間が続きます。精神的にも苦しい時間になると思いますが、なおちゃんにも、ご家族の皆さんにも頑張っていただきたいです。
なおちゃんは6歳の女の子。昨年の6月に心臓に重い病を発症し(最初は風邪のような症状だったそうです)、自分の心臓では体に血液を送り出すことができなくなってしまいました。補助人工心臓という装置を装着して血液循環を補ってきましたが、この装置を装着するリスクのひとつである血栓症で脳梗塞を発症、今も体の一部に麻痺が残っています。彼女が未来を手にするには心臓移植しか手段はありません。ご両親は、アメリカでの心臓移植を決意しました。しかし、保険が適応されない海外では莫大な費用がかかります。その額は、渡航費や医療用機器の費用、滞在費なども含めて2億7000万円に上りました。円高が費用を押し上げてしまった面もありました。
よく、心臓移植は国内ではできないの? という質問があります。日本でも小児の心臓移植は法律改正によって可能になっています。しかしドナーが極端に少ないのです。2年待っても移植できるかどうか分からないという状況です。それに対してアメリカでは2カ月ほどの待機で移植が実現する場合が多いとされています。
少しシビアな話をさせてください。
先日ある食事会でご一緒した人の中に、なおちゃんのお母さんの母校の関係者、なおちゃんのお母さんが高校で部活に励んでいたのと近い時期に、同じ町で同じ種目で活躍していた人たちがいました。
なおちゃんの渡米が実現するだけの募金が集まったことに、みんな安堵していました。でも、話はそれだけではありませんでした。
渡米したなおちゃんは、これからドナーが現れるのを待つことになります。ドナーが現れるとはどういうことか――?
2つある腎臓、臓器の一部でも可能な生体肝移植とは異なり、心臓移植の場合は、移植すなわちドナーの死を意味するトいうことです。
将来に向けてなおちゃんが背負うことになるものの重さを考えずにはいられませんでした。まして移植については否定的な意見を持っている人も少なくありません。さらに募金で集められた金額2億7000万円の大きさもあります。
10年後、20年後、さらに30年後…。彼女がそんな重さに負けずにがんばり続けていることを願わずにいられません。
たとえば2億7000万円の募金が必要なら、1人1口270円ということにして100万人から集める努力をするとか、いっそ27円を1000万人から集めるとかということも想像しました。彼女の今後の人生にとっては、応援する立場の人が少しでも多い方がいいと思うからです。
そう考えると、募金活動に協力した私たちは、移植が成功したら終わりではなく、何らかの形でずっと応援し続けなければとも思うのです(それが重荷になってしまうかもしれませんが)。
募金が集まったことを伝える新聞記事の中で、なおちゃんは手術の痛みを不安に思っていた時期もあったが、早くアメリカに行きたいと前向きに考えていると伝えられていました。あまり先のことを考えるより、まずは目の前のことから大切にしなえればならないのかもしれません。
ここでもまた、なおちゃんに教えられたような気がします。
日本では小児の臓器移植が絶望的だという状況、臓器移植がもつ意味、そのための莫大な費用と、募金に込められた意味などなど。なおちゃんには多くのことを教えられました。未来を無心に信じるという生き方も。
そして、移植が終わればそれでOKというものでもないことも。
なおちゃんは「未来」を考えるきっかけを私たちに届けてくれたのです。
なおちゃんについて、詳しくはこちらをご覧下さい