6月12日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機原子炉格納容器ガス管理設備B系が電圧低下で監視不能に。別系統は正常に作動
※6月12日午前6時10分頃、1号機原子炉格納容器ガス管理設備(以下「PCVガス管理設備」という。)B系の放射線検出器の電圧が低下したことにより、監視不能と判断。今後、原因の調査および当該設備の点検を実施する。なお、PCVガス管理設備A系については、正常に動作しており、プラントデータ監視に支障はない。また、プラントデータ(原子炉圧力容器底部温度、格納容器内温度等)の異常、モニタリングポスト指示値の有意な変動は確認されてない。
増設多核種除去設備の制御回路で地絡。重故障警報も発生したため、設備を停止
※6月11日午後2時51分、増設多核種除去設備の制御回路に地絡が発生。地絡の影響により当該設備に電源が供給されなくなり、その後、無停電電源装置による運転を継続していたが、無停電電源装置の電源も喪失したため、午後4時54分に増設多核種除去設備の循環待機運転が停止したものと判断。
増設多核種除去設備制御回路の点検を行ったところ、特に循環待機運転が停止に至るような異常は確認されなかった。
また、調査の過程で同日午後2時17分頃、および午後8時3分頃に重故障警報の発生を確認したことから、当該設備を停止し詳細な原因調査を実施する。
なお、当該設備を安定した停止状態へ移行するための系統内の希釈操作を実施する必要があることから、同日午後8時44分に循環運転を再開し、午後9時40分に設備を停止した。
なお、増設多核種除去設備の関連の制御回路に地絡が発生していることから、同設備停止との因果関係も含め、調査を実施していく。
側溝内に設置された耐圧ホースからの汚染水が漏洩の続報。K排水路排水口6月11日採取の測定結果
K排水路排水口の放射性物質濃度(採取日:6月11日)については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。また、港湾口連続モニタの値に有意な変動が確認されていないことから、外洋への影響はないものと考えている。引き続き、監視を継続する。
高性能容器(HIC)からの漏洩の続報。567基中合計30基で水漏れ等を確認。さらに蓋にベント孔がない等、HICの不具合についても追加報告
※ボックスカルバート内に収納されている高性能容器(HIC)からの水の滴下事象について、セシウム吸着塔一時保管施設第二施設に保管されているHIC(全数684基:6月11日時点)の点検(水溜まりの確認)を行っているが、5月23日でお知らせした以降、新たに4基のHICに水溜まり等を確認。
これまで(6月10日時点)、567基のHICの点検を完了しているが、これまでに合計30基のHICについて、水溜まり等を確認。
引き続き、残りのHICについて点検を行っていく。
また、第三施設に保管されているHIC(全数903基:6月11日時点)についても点検(水溜まりの確認)を開始している。これまで(6月10日時点)、29基のHICの点検を完了しているが、水溜まり等は確認されていない。
引き続き、水溜まりの疑われるHICについて点検を行っていく。
5月23日にお知らせしたとおり、蓋にベント孔がないHIC1基が確認されたことから、蓋ベント孔の検査記録がないHICについて確認を行っている。
これまで(6月10日時点)、第二施設に保管してある、HIC478基中、362基について、目視可能な範囲でベント孔の確認を実施したところ、ベント孔は開いているものの、設計上の孔数と不整合があるHIC11基(合計12基)を新たに確認。
また、第三施設に保管してあるHIC28基中、6基についても、目視可能な範囲でベント孔の確認を実施しているが、設計上の孔数との不整合は確認されません。
今後、HICから蓋を取り外して再度ベント孔数を確認するとともに、残りのHICについても引き続き確認を行っていく。
1号機 ~復水貯蔵タンクの滞留水を、1号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を、1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機復水貯蔵タンクの滞留水を、1号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中。
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機~5号機
新規事項なし
◆2号機
1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月11日午前10時15分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆3号機
1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月11日午前10時19分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
6号機 ~燃料プールの冷却を非常時熱負荷運転から使用済燃料プール冷却系に切り替え
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
加えて、
※6号機補機冷却海水系については、ストレーナおよび弁点検のため全停していたが、6月12日作業が終了したことから、補機冷却海水系を起動。
これに伴い、使用済燃料プール冷却を残留熱除去系(RHR系)による非常時熱負荷運転から使用済燃料プール冷却系(FPC系)に切り替えるため、6月12日午後0時12分にRHR系による非常時熱負荷運転を停止し、午後0時30分にFPC系を起動。FPC系の運転状態に異常はありません。
なお、使用済燃料プール水温度は16.7℃と変化はありません。
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置・第二セシウム吸着装置(サリー)「運転中」
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
その他の項目に新規事項なし
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス ~海洋への排水を開始(通算68回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日6月1日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。(既出)
6月12日午前10時33分より海洋への排水を開始。同日午前10時42分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
6月11日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことからパトロール員の安全確保のために測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>
4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
(中略)
6月1日採取 4,900Bq/L
6月2日採取 5,400Bq/L
6月3日採取 5,500Bq/L
6月4日採取 5,100Bq/L
6月5日採取 5,100Bq/L
6月6日採取 4,900Bq/L
6月7日採取 5,200Bq/L
6月8日採取 4,700Bq/L
6月9日採取 5,600Bq/L
6月10日採取 4,400Bq/L
<H4周辺地下水E-9の全ベータ値>
5月18日採取 1,200Bq/L
5月20日採取 20,000Bq/L
5月22日採取 13,000Bq/L
5月25日採取 16,000Bq/L
5月27日採取 4,000Bq/L
5月29日採取 5,100Bq/L
6月1日採取 2,600Bq/L
6月3日採取 2,900Bq/L
6月5日採取 5,400Bq/L
6月8日採取 3,400Bq/L
6月10日採取 4,700Bq/L