かさ上げ工事が進む岩手県大槌町。町なかではほとんどの建物が撤去され、さらに工事のために道路が付け替えられているので、自分がどこを走っているのか分からなくなるほど。ところが、
タイムスリップというか、デジャヴというべきか。
港近くの一角に、時間の流れが停まったままの場所があった。
2012年10月の写真と2015年1月のを並べてご紹介する。
▲2012年 港と内陸を隔てる防波堤のゲート付近 右が海側(川側)、左が内陸側
▼2015年 かさ上げの土が被された以外は、内陸の水溜りも含めて違いが分からない
▲2012年 水門の海側(川側)
▼2015年 ガードポールの倒れ具合までそのまま!
▲2012年 防波堤の内陸側。沈下のせいか水の引かない水溜りが広がる
▼2015年 やや水位は高いが、がれきの散乱具合まで同じ!
▲2012年 内陸側のスロープの破壊されたガードポール
▼2015年 写真は引き気味だがポールの倒れ方は変わっていないように見える
▲2012年 水門を陸側から見る
▼2015年 引っかかったゴミまでそのままなのでは!(背後は建設中の建物)
▲2012年 同じ水門を内陸側からアップで
▼2015年 同じ水門を海側からアップで。まだこんなにがれきが!
同じ場所の海側では工事が急ピッチなのに…
この場所は、陸と港湾施設をつなぐゲート・スロープ付きの通路でなおかつ小規模河川の水門だったようだ。しかし、その海側では埋め立てとかさ上げが進み、場所によっては広い舗装道路や、水産加工場らしき建物もほぼ完成していた。
ゲート付近だけはデジャヴ感いっぱいのタイムスリップ状態だが、やはりこのエリアでも復興工事は急ピッチなのだ。
しかし、どうしてゲートのあたりだけが手付かずなのだろう。早く片付ければ見た目の印象もずいぶん変わるはずなのだが…
思うに、不足しているということなのだろう。人手なのか時間なのか資金なのか資材なのか、あるいはそのすべてが足りないから後回しにされるということなのだろう。リソースは復興工事そのものにすべて投入する。埋立地に出入りする別ルートもあるので、当面使わない場所の片付けや工事はとりあえず放置――。
埋立地の奥の海の中に、まるで間欠泉のように水が湧き上げるものがあった。港の岸壁だった巨大なブロックが津波で破壊されて沈んだままに放置され、その穴の部分から、寄せ波引き波に合わせて水が吹き出し、渦巻いているのだ。この付近もそのうち埋め立てられるということなのかもしれない。今すぐ撤去する人手か時間か資金がないから、やはりそのままにされているのだろう。
何年たってもデジャヴな感じのこのエリアは、復旧・復興工事のギリギリ苦しい状況が滲み出ている場所なのかもしれない。
大槌町港町付近
(1月に撮影してすでに6カ月。このエリアもすでに様変わりしたかもしれません)