【GW島旅レポート】憧れの島、青ヶ島に上陸! Vol.3

私とトシ君、そしてラザルはキャンプ組であった。そのほか、船内で知り合った埼玉からの女性二人組もテント泊とのことであった。彼女らも加えた5人で野営場へ向かう。ラザルは彼女達のことを「埼玉ガールズ」と名付けた。

三宝港からはキャンプ場までは約2km弱。都道356号を1、2分歩くとすぐに外輪山を貫く青宝トンネルが現れる。

トンネルの長さは約500m。道幅は狭く、乗用車2台がギリギリすれ違うことができるくらい。壁面は、掘った穴にコンクリートを貼り付けただけかのように凸凹になっており、雰囲気は満点。キャンプメンバーの全員が興奮気味☆

外輪山を貫く雰囲気満点の「青宝トンネル」

長いトンネルを抜けるとそこは火口。周囲は360度そそり立つ外輪山の壁に囲まれている。直径1~1.5kmほどの火口部分には、オオタニワタリなどの亜熱帯特有の植物が生い茂り、中央には内輪山がある。特異な島の地形と植生があいまって漂う南国の秘境ムードにいやが上にもテンションは上がった。

キャンプメンバーの興奮度はかなりなもので、おかげで都道からキャンプ場へ入る脇道を通り過ぎてしまうほどであった。

遠回りをして野営場の到着。各自が思い思いの場所にテントを張るとキャンプ申請をするため、役場へ行くことにする。

青ヶ島の野営場。キャンプ場は火口の中央、丸山の裾野にある

キャンプ場使用申請をするために役場へ。これがまた一苦労・・・

ところでこの役場、実は行くまでが大変なのである。

役場や学校などがある島で唯一の集落は、港のほぼ反対側の外輪山の外側にある。キャンプ場から行くには途中、火口壁の急な斜面に造られたつづら折りの道路を上らなければならず、歩くと1時間ほどかかるのだ。

また、役場には届け出以外にも水の補給という重要なミッションもある。というのは、キャンプ場に水場はあるものの、農業用水を引いたもので飲むことはできない。そのため飲料水は役場まで汲みに行く必要があるのだ。

トシ君、ラザル、埼玉ガールズ、そして私の5人で村役場へ向けて出発した。

火口内を20分ほど歩いた地点から、外輪山の急斜面に造られたつづら折りの道路を上っていく。高度が徐々に上がるにつれ、火口全体の様子を見渡すことができるようになる。

外輪山の上に出るとどこまでも続く大きな海が広がっていた。吹いてくる風が心地よい。通常、ここから役場までは20~30分ほど。しかし、途中にあった神社などに寄り道をしたために倍の時間がかかってしまった。

外輪山の上にでると大きな海が見えた。ここから役場までは外輪山の上に造られた比較的平坦な道が続く

役場に到着すると申請書に記入をしてキャンプの届け出をする。水は八丈島から12~13Lほど持ってきてはいたが、念の為に少し補給をしておく。

島の最高地点へ。そして夜は・・・

手続きを済ませると島にひとつだけあるという商店「十一屋酒店」へ行き、卵などの食料を買う。「酒店」とあるが、お酒以外にも野菜や肉などの食料品のほか、ちょっとした日用品も売られている。

買い物を済ませると標高423m、島の最高地点にある大凸部展望台(おおとんぶてんぼうだい)へ。商店から展望台までは30分ほどの道のりである。

山頂には先客として同じ野営地のキャンパーがいた。彼の名前は林さん。30代くらいの男性で、海に潜って魚を突くためにヤスなども持って来たワイルドな方だった。

最高地点からの展望は贅沢なものであった。青ヶ島の特徴である外輪山とその火口といった地形を一望できるほか、役場などがある集落や海も360度見渡すことができる。

到着した時はすでに太陽が傾き、火口部分は陰っていたが、代わりに美しい夕日をみることができた。

大凸部からの景色を堪能すると、みんなで飲みに行くことになった。ただ、林さんと私は太陽が沈むのを見てから合流することに。先に居酒屋先発チームとして、トシ君、ラザル、埼玉ガールズが飲み屋へ向かう。

彼らが展望台を後にしてから日没までは40分ほど。夕日が水平線に沈む瞬間は荘厳であった。これほどに美しく綺麗に沈む太陽を見たのは久しぶりだった。

太陽が沈むのを見届けたらすぐに居酒屋先発組に合流するはずであった。しかし、今度は月が美しく、その場を離れることができなくなってしまう。

月は満月に近かった。雲の合い間からときおり顔を出すと月光が島と海に降り注ぎ、幻想的な世界が現れる。しばらくその光景に見惚れていた。

幻想的な月明り

月が大きな雲に覆い隠されると下山を開始して居酒屋を目指した。島に2軒しかない飲み屋のひとつ、「もんじ」へ行くと先発チームがいた。

もんじは離島らしい素朴で素敵な雰囲気の店である。店内は、地元の人が酒の入ったグラスを片手にカラオケを歌うなど、居心地のよい空気で満たされていた。

私は最初にビールを注文して空けると、その後にしめさば、エイヒレなどをつまみに青酎(あおちゅう)を飲んだ。青酎というのは青ヶ島特産の芋焼酎で、焼酎好きの間では「幻」とささやかれているそうだ。八丈島で会った旅人からその美味しさを聞かされており、島に渡ったらぜひ飲んでみたいと思っていたのだ。

合流してから1時間程、美酒と店の雰囲気を楽しむとトシ君、ラザル、埼玉ガールズとキャンプ場へ戻る。林さんは店に残った。次の日聞いた話では、彼は深夜まで飲んでいたそうである。

<【GW島旅レポート】秘島、青ヶ島を散策♪ Vol.4 へ続く>

青ヶ島・キャンプ場

※船の陸揚げ写真撮影者以外の登場人物は仮名です。

参考WEBサイト

Text & Photo(※船の陸揚げ写真を除く):sKenji