【ベトナム旅行レポート】ベトナムの古都・フエ 前編 ~Vol.6~

フエの王宮

前回の旅行レポート

古い町並みで知られるベトナム中部の街、ホイアン。築200年の古民家の宿に2泊して、旧市街を観光した。

ベトナムの古都・フエについて

ベトナム中部にあるフエは、同国最後の王朝である阮(グエン)朝の都が置かれていた古都である。阮朝は1802年に初代皇帝のザーロン帝が建国し、13代のバオダイ帝が退位するまでの143年間続いた。19世紀中ごろからフランスの侵略を受け、1883年に同国の保護国となっている。

フエ一番の見どころは中国の紫禁城を参考にして作られたという阮朝の王宮。約600m四方の皇帝の居城は天然の川や運河、堀に幾重にも囲まれており、午門や太和殿などの建物がある。

川や堀などで幾重にも囲まれているフエの王宮(※赤枠部分。一辺約600m)。王宮の外には旧市街が広がる(出典:Google Mapに加筆)

郊外には歴代皇帝の帝廟やお寺も点在している。廟は広大な敷地に作られた中国風のものもあれば西洋風のもの、元は別荘だったものを造り変えたものもある。1か所を除き、いずれの廟にも埋葬されていないせいか、厳かというよりも美しい庭園といったのどかな雰囲気が漂っている。世界遺産には王宮のほかにこれらの帝廟なども含めて指定されている。

阮朝王宮

フエには2泊して阮朝の王宮、ティエンムー寺、歴代の皇帝廟を見て周った。初日、まず最初に訪れたのが王宮である。

フエの街にはフォン川という大きな川が流れている。王宮の天然の堀としての役割もあるこの川を境にして、王宮がある北側に旧市街、南側に新市街が広がっている。

フエのほとんどのホテルがそうであるように、私が泊まっていた宿も新市街にあった。王宮までは距離にして約2km。徒歩30、40分ほどなので、街を見学しながら歩いていくことにする。

宿を出発して15分ほど歩くとフォン川が見えてきた。川幅は約300m。考えていた以上に大きい。川には新市街エリアと旧市街エリアを結ぶ橋が3本架かっている。そのうち一番下流側にあるチャンティエン橋を渡って旧市街へ。

バインミー

橋を渡った所でこの日2つ目のバインミー(※ベトナムのサンドイッチ)を食べる。遅い朝食として、すでに出発した際に宿の近くでバインミーを1つ食べてはいた。しかし、橋のたもとにある店では軽く焼いたパンに具をはさんでくれる。これが大変美味しいのでつい買ってしまった。

橋を渡るとそこは旧市街。一部の主要道路付近を除けば、新市街と比べて落ち着いた感がある。堀と城壁が張り巡らされており古都の雰囲気が漂う。

城門をくぐると青銅製の巨大な大砲が置かれていた。これは阮王朝初期に9つ作られたもののうちの4つで、それぞれ春、夏、秋、冬と名付けられている。残り5つは400mほど離れた場所にあり、中国の五行思想にちなんで水、金、土、火、木と呼ばれている。

大砲の近く、王宮入口前にはフラッグタワーと呼ばれる見張り台がある。初代皇帝が建てたものは木造だったが、戦争などで破壊され、1969年に現在のものが建てられた。遠くからでも目立つので、王宮見学をする際はこのタワーを目指すといい。

王宮の正面門である「午門」

いよいよ王宮内へ。入口は「午門」と呼ばれている正面門。通常だと午門の楼閣に登ることができるのだが、私が訪れた時は修復中だったために立ち入ることができなかった。とても残念!

太和殿に続く道。両脇には池がある

午門をくぐって敷地内に足を踏み入れると2つの池がある。池の真ん中には道が一本あり、その先に「太和殿」が見える。

太和殿

太和殿は皇帝の即位式などの儀式が執り行われた建物で、中には皇帝が座る玉座などがある(※中は写真撮影禁止)。現在の建物はベトナム戦争で破壊された後の1970年に再建されたものである。

広大な敷地内には太和殿の他にも、閲是閣(えつぜどう)、顯臨閣(けんりんかく)、延寿宮などの建物があるが、そのほとんどがベトナム戦争で失われている。本家中国の紫禁城と比べると現存しているものは少ないものの、現在再建が進められている。

4時間ほどかけて王宮を見学。4月初めというのにかなりの暑さで休み休み見て周る必要があった。王宮を後にすると新市街に戻り、自転車をレンタルしてティエンムー寺へ向かう。

<【ベトナム旅行レポート】ベトナムの古都・フエ 後編 ~Vol.7~ に続く>

フエ

Text & Photo:sKenji