民放労連「自民党の度重なる報道介入に強く抗議」

現場は圧力あるって言うけど、さあどっち?

民放労連委員長談話
自民党の度重なる報道介入に強く抗議する

2015年4月13日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ
 
自民党が昨年11月、「アベノミクス」の効果が国民全体に波及していないとする番組内容を問題視して、テレビ朝日系ニュース番組『報道ステーション』のプロデューサーに対して「公平中立」な番組づくりを求める文書を送付していたことが、このほど報じられた。各紙の報道などによると、自民党は文書送付を認めたうえで「圧力をかける意図はなかった」と説明しているという。
放送免許の許認可権限を背景にした政権政党が、個別の番組内容に注文をつけること自体「報道への介入」であり、政治的圧力以外の何物でもない。放送法にある「放送の公正」とは放送事業者が自律的に判断すべきもので、政府の判断を放送局に押しつけることを許すものでは決してない。
 昨年の衆院解散直前に、自民党は在京キイ各局に対して「選挙時期に一層の公平中立な報道」を求める文書を送っているが、今回明らかになった事態も同じように、言論・表現の自由、番組編集の自由への極めて重大な侵害に当たる。私たち放送労働者は、自民党による度重なる蛮行に対し、強い怒りをもって抗議する。
放送を含めジャーナリズムのもっとも重要な使命は、国家権力の政策を国民の立場から監視することである。政権政党が健全な批判すら受け付けないのであれば、それはもはや民主主義をかなぐり捨てた独裁政権に道をひらくものと言わざるを得ない。
 最近、報道機関のトップや編集幹部が積極的に安倍首相とのゴルフや会食に積極的に応じる一方で、政権サイドのメディアへの高圧的な態度がめだつ。報道各社がこの問題を本来ならこぞってとりあげ、こうした不当な干渉は毅然とした態度ではねのけ、文書送付の事実を自ら報道することも含めて、批判すべきは徹底的に批判するというジャーナリズム精神を貫くべきだ。  

以 上

引用元:民放労連 | 見解・声明・談話・報告書(2015年4月13日)

民放労連とは、日本民間放送労働組合連合会の略で、民放産業で唯一の労働組合の連合会です。

報道への政治的圧力はないと、政府(政権与党)は言う。
政府(政権与党)から政治的圧力を受けたことはないと放送局の偉い人も言う。
報道の現場である組合は『度重なる』政治的圧力に対し、やめろと言う。

いったい誰が嘘をついているの?

「最近、報道機関のトップや編集幹部が積極的に安倍首相とのゴルフや会食に積極的に応じる一方で、政権サイドのメディアへの高圧的な態度がめだつ。」
と民放労連がいうわけですから、これが答えですね。

政府(与党)と報道機関のトップや編集幹部が嘘をついていることになります。

国営放送であるNHKの会長が首相の意向で選任されたことは、今や公然の秘密です。その上民放までがこの有り様では、『独裁政権』まっしぐらになってしまいます。
批判を絶対に認めない総理とナチ好き副総理のご親戚世襲内閣は、危なくて生きた心地がしません。

この報道機関への傀儡は、『北の国から』学んだのでしょうか?
ドラマ『北の国から』は圧倒的な国民的指示を受けましたけどね。

国民とか、視聴者は置き去り状態。
「お前たちは、受信料払って、スポンサーのご機嫌損ねないように視聴率に協力してれば、いいんだよ~。」くらいの感覚でしょう。

頑張っていた『報道ステーション』も圧力で『報道捨てーしょん 』になりかけているけど、ここで頑張って『報復ステーション』にならないと番組終わっても誰も悲しまないでしょうね。
※『報ステ』が『報捨て』に変化する様子は以下リンクの『ホウドウのずぶ煮』『切り干しこが大根の酢の物』をご覧ください。

昨年末の衆議院選でも同じことが

民放労連委員長談話・政権政党による報道介入に強く抗議する(2014.11.28)

2014年11月28日
日本民間放送労働組合連合会
中央執行委員長 赤塚 オホロ

 衆院解散前日の11月20日付で、自民党総裁特別補佐の萩生田光一筆頭副幹事長と福井照自民党報道局長の連名で、「選挙時期に一層の公平中立な報道」を求める文書を各局の編成局長と報道局長宛てに出したことが、各紙の報道などで明らかになった。その内容も、番組出演者の発言回数や時間、ゲスト出演者やテーマの選定、街頭インタビューや資料映像が一方的な意見に偏らないことなどを要請している。
 選挙に際して公正な報道を求める要請は、これまで各政党から行われてきた経緯はあるが、政権政党が、報道番組の具体的な表現手法にまで立ち入って事細かに要請することは前代未聞であり、許しがたい蛮行と言わざるを得ない。日本国憲法が保障する表現の自由、放送法が保障する番組編集の自由への極めて重大な侵害に当たることは言うまでもなく、私たち放送労働者は、このように露骨な報道への介入に対して、怒りをもって抗議する。
 文書を受けた各放送局には、こうした不当な干渉は毅然とした態度ではねのけ、権力監視という社会的使命に基づいた公正な報道を貫くことを求める。

以 上

引用元:民放労連 | 見解・声明・談話・報告書 (2014年11月28日)

「政権政党が、報道番組の具体的な表現手法にまで立ち入って事細かに要請することは前代未聞であり、許しがたい蛮行と言わざるを得ない。」
「私たち放送労働者は、このように露骨な報道への介入に対して、怒りをもって抗議する。」
とハッキリ現場の人たちは、怒っているわけです。

ところが、この問題をたったの2局(2番組)しかテレビ局は取り上げなかったというのが私が認識するところです(間違っていたらゴメンナサイ)。

一つは、テレビ朝日の「朝まで生テレビ!」の2014年11月29日未明放送、もう一つはTOKYO MXの「淳と隆の週刊リテラシー」の2015年4月4日放送です。

この回の「週刊リテラシー」はゲストコメンテーターが、「朝生!」MCの田原総一郎氏でした。

まず、他局が一斉に口をつぐんだこの「問題文書」の存在を「週刊リテラシー」では、堂々と巨大フリップにしました。

TOKYO MX 淳と隆の週刊リテラシー 2015年4月4日放送

そして、この問題を「朝生!」で取り上げたと、得意げに田原氏は言うのですが、残念ながら「朝生!」のこの回の放送は、出演者のパネリストをテレビ朝日がドタキャンし、評論家やうるさ型の出演を中止させていたのです。

パネリストは政治家のみで、結局当たり障りのない話でうやむやなまま。
報道に対する圧力の問題文書を議論する前に、テレビ朝日が圧力に屈した形で生放送を続けたのです。

「週刊リテラシー」はその点は平気です。「朝生!」ではちらっとしか見せない文書をここまで拡大して掲示しました。大きいけど読めないですが。

何かと攻撃を続けられたテレビ朝日と一切攻撃を受けていないTOKYO MXとの差がそこにあります。

番組の中でも、自民党から在京キー局に送られたこの文書は、同局には届いていないと笑い飛ばしていました。

自民党がテレビ朝日「報道ステーション」に対して報道圧力とも受け取れる文書を送付していたことが明らかになった。

これは昨年、「報道ステーション」がアベノミクスの効果について「日本全体には波及していない」とする報道を行ったことに対して、放送の数日後に自民党が文書で公平中立な報道を行うよう申し入れをしたものだ。

この件について、自民党、テレビ朝日双方ともに、ノーボーダーの取材に対して、文書のやり取りがあった事実関係を認めた。

引用元:【速報】自民党が報ステに「圧力文書」を送付していたことが明らかに | ノーボーダー編集部

とまぁ、「週刊リテラシー」のレギュラーコメンテーターである上杉隆氏が代表を務める「NOBORDER」がちゃーんとやってくれました。

嘘をついているのが誰だったか、やっぱり明らかになってきましたね。

報道が自由を失って、政権の意のままに操られてしまうと、本当に恐ろしいことが起こってしまいます。

民放労連では、「集団的自衛権」や「派遣法」の問題も意義を唱えています。

報道で働く人が、声をあげて、幹部層が目をつぶる。

もはやスレスレ、ギリギリの危うい日本です。

70年間の平和は、自然と保たれたわけではなく、平和を維持しようと努力したからこその結果だと思います。平和ボケから目を覚まさないと、知らないうちに取り返しのつかないことが、この国に起きるやもしれません。

たった70年前まで、そういう危ない国だったのです。