不審火の可能性は排除できるのか
そもそも、道の両側で同時に火災が発生するという状況自体、かなり不自然だ。にも関わらず発表に失火や放火の可能性について一切言及していない点は理解に苦しむ。
もはや事故原発の中で起きている出来事は、いくら事業者である東京電力が「大したことではない」「事件性はない」と説明しても納得する人は少ないだろう。あらゆる可能性を排除せずに調査を進める真摯な姿勢を示すことが、少しでも信頼を回復する道なのではないか。
ところが東京電力の説明は、
▽火災は鎮火した。原発や空間線量に問題はない
▽火元は破損したブレーキ片だと考えられる→該当車両を探すと発表
▽火災の3日後、火災現場の写真を発表。詳しい説明はせず。該当車両の言及なし
まさかこれで幕引きということではないのだろうが。
事故原発の廃炉は人類史上極めて重大な事業だ。ひとつ間違えば原発事故被災地のみならず、日本中、世界中に深刻な影響を及ぼすことになる。人類の未来を滅茶苦茶にしてしまう虞れすらある。そのような重い責任を負っている以上、国民からも世界からも信頼される存在であることが、事業者としてのまず第一の必要条件であるはずだ。
追記:火災が起きた道路の位置
「道路そのものは敷地内なのでしょうか?」というコメントがありましたので、地図で説明します。左はGoogle Mapに火災現場を示したもの。右はほぼ敷地全体図を示している「福島第一構内サーベイマップ」(東京電力が発表している敷地内の空間線量の測定値を示す地図)に現場を示したもの。現場はしっかり原発の敷地内。正門のゲートを入って5・6号機方面に1.4km弱走ったカーブの手前。6号機原子炉建屋からは西に直線距離で約450メートルの場所です。(地図はいずれも上が東)