3月27日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
5号機原子炉冷却材浄化系ポンプの調査結果
※5号機原子炉冷却材浄化系(以下「CUW」)ポンプ(A)については、原子炉水の浄化及び原子炉水位の調整のため、平成26年11月6日午後1時47分頃より運転していたが、平成26年11月13日午後3時19分に過負荷トリップが発生。その後、現場を確認したが、漏えい等の異常は確認されておらず、今後、CUWポンプ(A)がトリップした原因について調査するとしていたが、その点検結果は以下の通り。(既出)
点検における外観目視の結果、CUWポンプ(A)のスラスト軸受に、クラッド等を噛み込んだと思われる摺動痕を確認。このことから、スラスト軸受にクラッド等が混入したことにより、スラスト軸受の摺動抵抗が増加し、ポンプ運転時の電流が増加したため、過負荷トリップに至ったものと推定。
今後、スラスト軸受の交換を行い、CUWポンプ(A)を復旧予定。
スラスト軸受:ポンプの回転部分の軸方向にかかる力を受ける軸受。ベアリングか。
クラッド:被覆材。ポンプや配管内部をコートする材。
ポンプや配管内部の材の一部が軸受けのベアリングの中に入って、滑りが悪くなったためポンプ運転に負荷がかかって、モーターに流れる電流が増えてトリップしたという見解か。
1号機 ~タービン建屋から1号機廃棄物処理建屋への高濃度滞留水移送を停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送実施(平成27年3月26日午前9時21分~午後6時19分)
※滞留水移送は停止中
今回、移送が実施されたのは8時間58分間。
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月26日午前10時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目
※滞留水移送は停止中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月26日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により測定を一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月18日採取 13,000Bq/L
3月19日採取 12,000Bq/L
3月20日採取 16,000Bq/L ※漸減傾向から再上昇
3月21日採取 11,000Bq/L ※再び減少に転ず
3月22日採取 9,900Bq/L
3月23日採取 7,700Bq/L
3月24日採取 7,500Bq/L
3月25日採取 7,300Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月10日採取 200Bq/L
3月17日採取 3,400Bq/L
3月19日採取 1,900Bq/L
3月20日採取 3,100Bq/L
3月21日採取 1,400Bq/L
3月22日採取 1,100Bq/L
3月23日採取 1,400Bq/L
3月24日採取 1,700Bq/L
3月25日採取 2,400Bq/L
※ 3月10日以前の最高値:480 Bq/L(平成26年6月18日)
<G-2のトリチウム値>
3月17日採取 290Bq/L
3月18日採取 260Bq/L
3月19日採取 300Bq/L
3月20日採取 2,500Bq/L ※前日までの動きから桁違いの上昇
3月21日採取 250Bq/L ※前日の10分の1
3月22日採取 210Bq/L
3月23日採取 260Bq/L
3月25日採取 270Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 ~NDから2ケタへの上昇を示した港湾外の海水サンプル、北防波堤北側・港湾口北東側・南防波堤南側の分析は行われず
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
3月26日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で100Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で80,000Bq/L。「iiの北東側」は3,900Bq/L。「iiiの北東側」で2,500Bq/L。「iiiの南西側」で4,300Bq/L。(ともに全ベータの値)