国交省、免震ゴムの大臣認定を総点検を26社へ通知
東洋ゴムの免震ゴムの不正事件を受けて、国土交通省がその他の製造メーカー26社に対して、これまでに受けた167の大臣認定について、調査を行うことを通知しました。
調査の目的は、既に大臣認定を受けている積層ゴム支承について。「大臣認定不適合の有無」や「大臣認定不正取得の有無」を確認することです。
ですが!!
確認の方法は、「各社でやってね」という方法です。だから国交省は勘違いしていると【免震どころか激震 東洋ゴム工業株式会社(4)】の中で言ったのです。
通知の「各位」とは以下の会社をさします。
株式会社ブリヂストン
オイレス工業株式会社
株式会社免制震ディバイス
新日鉄住金エンジニアリング株式会社
昭和電線デバイステクノロジー株式会社
川口金属工業株式会社
株式会社ロジス・ワークス
株式会社高環境エンジニアリング
住友金属鉱山シポレックス株式会社
横浜ゴム株式会社
扶桑機工株式会社
住友ゴム工業株式会社
バンドー化学株式会社
日鉄住金関西工業株式会社
倉敷化工株式会社
ニッタ株式会社
株式会社巴コーポレーション
株式会社川金コアテック
SHANTOU VIBRO TECH INDUSTRIAL AND DEVELOPMENT CO,LTD
ブリヂストンエラステック株式会社
株式会社フジタ
東一ゴムベルト株式会社(DRB)
三菱重工業株式会社広島製作所
株式会社日建設計
Wuxi FUYO Tech Co., Ltd.
明興産業株式会社
以上の26社です。
通知を受けた会社は、4月20日を期限とし、次の書式で報告することになっています。
自社で調査し、調査の結果を下記の数字で記入してくださいとあります。
「大臣認定不適合」及び「大臣認定不正取得」がない・・・0
「大臣認定不適合」のみあった・・・1
「大臣認定不正取得」のみあった・・・2
「大臣認定不適合」及び「大臣認定不正取得」の両方あった・・・3
その他の内容の不正があった・・・4
1~4の場合は不正の実態を自由様式で具体的に説明してください。
ですと・・・
アンケート調査か!!
今不正を申告すれば、大目に見るとでも?
この調査で、不正が申告されるかどうか見ものです。
※ちなみに、東洋ゴムの実態でたとえると、記入数字は3になります。4がなかったこと(これ以上でないこと)を祈りましょう。
調査がこのレベルでは認定の評価も「?」
これが最高機関のいっている「調査」であるならば、大臣認定の評価方法も怪しいものだと思う方がいらっしゃると思います。
正解!!
東洋ゴムののデータ改ざんの手法で言われている「係数を調整して・・・」とは何を意味していたか。
実際の製品で性能を測定できないから、実際より小さい免震ゴム装置の試作品を用いて性能試験を行い、実際の大きなな免震ゴムの装置を予め決められた係数を用いて、性能を「はかる」訳です。「実測定」ではなく、「理論値」です。その理論値を求めるための「係数」を合格値が出るように「改ざん」していた訳です。
免震ゴム装置が大型化していて、それら大型の免震ゴム装置の性能を実測できる試験装置が『日本の評価機関には』ないために、そうした係数を使って「はかる」ことを認めており、それらの結果の申請を受けて認定をおろしているのです。
言ってみれば、認定の申請が出るときには、合格値であるデータを添付して申請されるわけです。合格基準を満たさないデータで、不合格となる申請をわざわざ出す業者がいるわけがありません。
今回認定のための評価をしたのは、一般社団法人日本免震構造協会です。いったい何を評価していたのでしょう。申請書類の記入もれとか、(嘘で)記入されたデータの確認でしょうか。そもそも試験装置を持たない機関で、評価するほうが無理なんです。免震構造協会の責任というより、制度設計の根本的な問題です。
大型の免震ゴム装置の性能を実測できる試験装置が『日本の評価機関には』ないと敢えていうのは、アメリカにはあるみたいだからです。日本の方がはるかに必要性が高い試験装置です。戦争と身長では負けてますが、地震の多さでは日本が数段優っています。こういうのは購入して備えたら良いのでは?これだけの地震大国であり、実際に免震技術には期待を寄せている訳ですから、試験装置にによる実物の測定は必須だと思います。必要なところにはお金をかけてください。必要なところだけは!
※現在、ブリヂストンが日本では最大の試験装置を有しているようです。
時間がかかる測定ですから、全数検査でなく、製造ロットでの抜取り検査で十分です。今は自主申告で「野放し」に近いのですから。
「野放し」に近いということを国土交通省も認識はしているわけで、それゆえ、認定を出した全製品にあえて調査をするわけです。
しつこいですけど、アンケート調査をね。
この調査は、お役人にしたら、相当屈辱的な調査であり、また凄いことをやっている感覚なのです。アンケート調査レベルでも画期的だと思っています。なぜなら、自ら性能を認定した製品を、認定した自らが疑うことをするのですから。
※パチンコ台の評価試験ではよくあることですけどね。評価試験で合格を出す機関とあとで射幸心を煽るから違法と摘発する機関は同一です。これはこれで常々問題になっています。
民間企業がクレームやリコールなどの対応で、社運をかけた調査をするときには、こんな生ぬるい方法は取りません。
国交省は勘違いしっぱなしです。