2015年3月13日 今日の東電プレスリリース

測定値が変動する理由がよく分からない。原発の隣町にある気象庁の観測点「浪江」の降雨量データを見ると、3月9日は89.5mmとかなりの雨が降っているが、10日は5.0mm、11日は0.0mm。東京電力は常々、測定値の変動と降雨量の連関を指摘しているが、線量の変動を降雨量以外の要素の存在も否定できない。数値変動のランダムさ加減は、地下貯水槽のデータの変動にも似ている。

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月13日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月13日

1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示す1号機放水路立坑の測定結果(3月12日採取分)「ゼオライト土嚢を設置しているから海への流出はない」という記載は誤り

「福島第一原子力発電所構内1号機放水路サンプリング結果|東京電力 平成27年3月13日」より
<最新のサンプリング実績>
当該放水路上流側立坑水については、セシウム134、セシウム137および全ベータ放射能ともに再度上昇傾向にあることを確認。現在、当該放水路立坑水の放射能の上昇について調査を実施しているが、特定に至っていない。
引き続き、監視および調査を継続。
なお、当該放水路出口付近は既に埋め立てられており、またゼオライト土嚢も設置してあることから、放水路内の水が海へ流出することはないと考えている。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年3月13日

◆採取日(3月2日)→ (3月5日)→ (3月9日)→ 最新(3月12日)

<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134: 5,900 Bq/L → 11,000 Bq/L → 18,000 Bq/L → 23,000 Bq/L
セシウム137:20,000 Bq/L → 38,000 Bq/L → 63,000 Bq/L → 79,000 Bq/L
全ベータ: 26,000 Bq/L → 49,000 Bq/L → 70,000 Bq/L → 98,000 Bq/L
トリチウム: 360 Bq/L → 360 Bq/L → 390 Bq/L → (分析中)

<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134: 270 Bq/L → 380 Bq/L → 410 Bq/L → 2,100 Bq/L
セシウム137:1,100 Bq/L → 1,300 Bq/L → 1,500 Bq/L → 6,800 Bq/L
全ベータ: 3,100 Bq/L → 3,400 Bq/L → 3,300 Bq/L →10,000 Bq/L
トリチウム: 1,900 Bq/L → 2,000 Bq/L → 1,700 Bq/L → (分析中)

上流側の上昇に加えて、とくに下流側の増加が著しい。

東京電力は「ゼオライト土嚢も設置してあることから、放水路内の水が海へ流出することはない」としているが、ゼオライト土嚢は水を止めるための通常の土嚢とは違い、多孔質のゼオライトという鉱物をネット状の袋に詰めたもので、水を通しながら主にセシウムを吸着するもの。水を止めるものではない。1号機放水路出口付近には、トン袋に詰めたゼオライトが放水路の汚染水に底部が浸かるように設置されているが、汚染水は土嚢の間を通ってさらに下流側に滞留している。また、ゼオライトはすべての放射性物質を吸着することもできない。

ゼオライト土嚢を設置しているから流出はないというのは、明らかに誤謬である。

また、過去には、「1号機放水路の水位は地下水位より低い」「当該放水路は土砂により閉塞」と説明されたが(平成26年10月24日)、出口が埋め立てられて静水となっているとしたら、放射性物質の顕著な変動は説明できない。ゆっくりであっても何らかの水の動きがあるのは明らかだ。また、放水路よりも低い地層にも地下水の層があり、遮水壁基部よりもさらに低い場所で海につながっていると考えられるため、「海へ流出することはないと考えている」という根拠は薄弱だ。希望的観測に近いものにも見えてくる。

関連データ(東京電力以外のサイト)

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年3月13日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太